「奄美共生プロジェクト」では老若男女が車いすや徒歩で、市街地を練り歩き、交流を深めるなどした
「奄美共生プロジェクト~みんなの思いを紡いで~」(奄美大島介護事業所協議会主催・奄美市共催)が9日、同市役所などで行われた。高齢者福祉施設や介護事業所、学童保育などから集まった約150人が徒歩・車いすで名瀬市街地を練り歩いた。ゴール地点の同市役所でセレモニーを開き、手を取りあい共に歩く心を確認。会場では「共生マルシェ」として障がい者就労支援事業所などが出店する物販もあった。
同プロジェクト実行委員の白浜幸高さんによると、全国各地で開催される認知症の人とともに歩くリレーイベント「RUN伴=とも=」を参考にしたもの。“奄美らしさ”を考慮した際に、子どもから高齢者までを幅広く巻き込み、交流を図る目的も持たせたという。今回が初開催。
この日は、同市名瀬の金久中学校、伊津部小学校、奄美小学校の3校をスタート地点に出発。このうち伊津部小では子どもたち、保護者、高齢者など約40人で出発。途中でさらに介護施設利用者・職員など約20人が合流し、60人の大所帯でゴールを目指した。
福祉用具の体験も歩きながら行われ、子どもたちが最新式の電動車いすや、足こぎ車いすに試乗。伊津部小3年の加陽百華さん(9)は「車いすに乗ったのは初めて。操作が難しく、歩道に車が止まっていると困った。良い経験ができた」と話した。
一行は約1時間を経てゴールに到着。セレモニーの場では、訪れた多くの人が完歩者らをねぎらう姿を見せた。車いすで参加した徳田亜都佐さん(45)は「人に押してもらうことで、不便な部分を理解できる。多くの人で話し合いながら歩くのは楽しかった」と話した。
セレモニーは小宿小金管バンドの演奏で幕開け。同市高齢者福祉課の永田孝一課長は「皆さんが、同じ方向を向き歩いていけるような市になれば」などとあいさつの中で語った。
白浜さんは「今年度のテーマ『わん・きゃ・でぃ』の通り、自分たちがまず何かを始めることで賛同者も増えてくる。今後も継続に向け、思いの糸を紡いでいきたい」と話した。