キノボリトカゲ捕食、減少懸念

喜界島で定着している緊急対策外来種のニホンイタチ(提供写真)

糞の内容物からはキノボリトカゲの爪(中央)も見つかった(提供写真)

海洋生物研調査で判明
喜界島に定着のニホンイタチ 環境省捕獲へ

 緊急対策外来種に指定されているニホンイタチが喜界島に定着し、在来の爬虫=はちゅう=類や昆虫類などを捕食し影響を及ぼしていることがわかった。奄美海洋生物研究会(興克樹会長)が同種の糞などを調査して、爬虫類ではキノボリトカゲが多く見つかり捕食圧で減少が懸念されるという。今回の調査結果を踏まえ、環境省は喜界島で捕獲に入る予定。

 同会によると、喜界島には1950年代後半にニホンイタチが移入され定着。また奄美群島では他に、ハブのいない沖永良部島や与論島にも定着しているという。

 一般に同種はコオロギなど昆虫類を主食とするが、定着した地域で爬虫類や昆虫類をはじめとする在来生物が減少することが確認されている。喜界島での分布状況や食性などは不明で、同会がニホンイタチの生息分布状況や食性を分析する目的で調査を実施した。

 調査は(公社)ゴルフ緑化促進会のGGG国立・国定公園支援事業の助成を受け、昨年7月に島内に設定した16ルートを踏査して糞を採取。糞は至る所で見つかり、同種の全島的分布を確認。持ち帰った糞は内容物を簡易的に分析し、種ごとに分類した。

 調査に当たった同会の木元侑菜さんによると、昨年7月に現地で採取した糞102個のうち、今年2月までに60個を分析。内容物には▽ほ乳類(クマネズミ、ジネズミ)▽爬虫類(キノボリトカゲ、ブラーミニメクラヘビ)▽昆虫類(コオロギ、コガネムシ、オケラ、サツマゴキブリ)▽甲殻類▽鳥類―を検出。木元さんは「ニホンイタチは基本的に動物食。爬虫類ではキノボリトカゲが多く見つかり、このまま何も対策しないと絶滅するかもしれない」と話した。

 同会の調査データをもとに環境省は近日中に、喜界島でのニホンイタチの捕獲調査に入るという。