希少野生生物の保護に向け、関係機関は連携・強化を図る
2018年度「奄美群島希少野生生物保護対策協議会(奄美大島地区)」(事務局・県自然保護課)が14日、県大島支庁会議室であった。近年、島内で違法採取の発生や不審者の情報提供が相次いでいることを踏まえ、行政や警察、関係団体は連携体制を構築することで意見が一致。盗掘を厳しく取り組むため19年度から合同パトロール実施など対応を強化する方針を固めた。
同協議会は国や県、警察、島内各自治体、環境団体などで構成。この日は約40人が参加し、保護事業の18年度実績、19年度計画を伝えた。
提案事項で、環境省奄美自然保護官事務所は夜間を含めた定期的パトロール、希少野生動植物の保護体制(連絡網)づくりを提案。入込客の増える夏シーズン、休日など通年レベルでの監視強化を訴えた。
さらに違法採取(盗掘)の発生に対応できるよう同事務所は、警察機関との情報共有や連絡、対応などを含めた対応フローの作成を呼び掛け。それに対し参加機関は概ね了承。奄美署、瀬戸内署はパトロール計画を踏まえ、積極的な協力意向を見せた。
希少種の交通事故多発化についても対応を協議。ドライバーへ注意喚起する看板、減速帯の増設要望に国道・県道を管理する県大島支庁は前向きに検討を進めるとした。同事務所側は「早期対応が求められており、標識設置手続きのスピーディ化を願う」と対応の緊急性を強調した。
事務局がアマミノクロウサギのロードキル対策の一環として、自治体広報誌上での件数公表を要請。各自治体担当者は準備を進める。
一方、希少種生息地の保護を目的に、環境団体から在来種の生息分布の調査、止水性水生生物の保全計画策定などを求めたが、事務局は地権者の許諾、予算面から「取り組みに向けた調整が相当困難」として慎重な姿勢を示した。
羽井佐幸宏・県自然保護課長は関係機関の連携を重視。「統一的な体制を図ることで島内の環境保全、住民理解の広がりが促進できる」として新年度を見据え、合同パトロール計画や対応フローの整理、継続した啓発活動などを進めていく考え。
15日は、天城町内で同協議会の徳之島地区会合を開く。