古仁屋高 維新未来博記念講演会

久慈白糖工場の復元模型を説明する古仁屋高校の生徒ら

「研究を学校の特色に」「研究感謝されてうれしい」
学校長や指導教諭、生徒ら発表

 県立古仁屋高校(大山良一校長)は瀬戸内町教育委員会と共催で16日、同町古仁屋のきゅら島交流館で「明治維新150周年記念プロジェクト維新未来博 高校生テーマ研究部門最優秀賞受賞記念講演会 瀬戸内町に新たな価値を生み出すために」を開いた。最優秀賞を受賞した生徒の発表や、研究に指導助言を行った大山校長や米倉秀和教諭などが登壇。白糖工場跡を町の観光資源としたり、研究を継続して同校の特色にするなどの提案が発表された。生徒の手による復元模型も展示され、多くの町民の関心を集めていた。

 講演会は明治日本の産業革命遺産に詳しい県大島支庁総務企画部・田中完部長の講演で開始。世界遺産や近代化遺産などを、スライド資料で解説した。

 複数の遺産を関連付けて一つのストーリーにするシリアルノミネーションの考えを例示。須手から西古見まで18のシマがあるとし、「白糖工場のあった久慈を含む西方のシマの魅力をセットにして発信するアプローチが必要だろう」。

 田中部長は、白糖工場にまつわるストーリーのビジュアル化(絵本、劇等)や、シマの菓子(スイーツ)との連携などを提案。「いろいろな可能性ある奄美の宝。国内外に発信して地域づくりに生かしてもらいたい」と語った。

 町教委の鼎丈太郎学芸員は、県が行った発掘調査の成果など解説。「今回の調査で白糖工場跡が、幕末から明治にかけての近代化遺産で国内最古級のレンガ造りの建物で貴重な資料と分かった。建物の詳細や性格は不明で、町としても調査を続け遺跡の詳細をつかめれば」と話した。

 大山校長は、復元模型の制作工程などを研究者の論文を参考にして取り組んだ様子を報告。「復元模型に関わり瀬戸内町は日本近代化の原点と感じた。研究は未完成で、研究に関わる生徒たちの力でもっと実際に近づけたい」と語った。

 同校2年の岩木乙香さん、濱田怜弥さん、奥村芽生さんと1年の靜岡いずみさん、諫山あずささんの5人は、「日本スイーツの聖地~よみがえる奄美大島白糖工場~」を発表。復元模型制作や小学生対象のミステリーツアーを、動画やスライドで紹介。靜岡さんの三味線で、田中部長と「らんかん橋節」のコラボも披露された。

 生徒らは「白糖工場跡は観光資源にできるのに、あまり知られていない」「身近な物にするために、復元模型づくりや小学生対象のバスツアーを企画した」「発表で注目されたり、集落の人に研究を感謝されてうれしかった」などと発言。研究を引き継ぐ後輩も加わったとして、来場者に理解と協力を呼び掛けた。

 生徒の研究に指導助言した米倉教諭は、小中高をつなぐ「キャリアパスポート」などを提案。「模型は町の観光資源になればと寄贈を考えている。地域をしっかり発信できる生徒が大学に求められている。キャリアパスポートを利用し国公立大の推薦入試における決定力にしたい」「高校生ガイドを目玉に、全国から観光客を呼びたい。町とタイアップして、研究を学校の特色にできれば」と話した。

 同町清水から参加した60代の元保育士の女性は、保育園で担当した子どもの成長した姿に感動したという。「すばらしい内容だった。古仁屋高校の後輩たちが、県に行って発表し、最優秀賞になったと聞き胸が熱くなった。もっと多くの人が来ても良かったと思う」と述べた。

 プレゼンを終え濱田さんは「このメンバーで発表するのは最後だったが、町民がたくさん来てくれて良かったと思う。日本スイーツの聖地を実現してもらえればうれしい。町にはもっと発展してもらいたい」と振り返った。