シラスウナギの生産へ

シラスウナギの生産へ

協定を結んだ伊地知町長(左)と永田会長兼社長(右)=和泊町=

 

和泊町と新日本科学が協定結ぶ
雇用創出、産業発展期待

 

 【沖永良部】和泊町と新日本科学(本社、東京都)は20日、シラスウナギ(ニホンウナギの稚魚)の人工生産研究開発拠点の設置に関する協定を結んだ。新年度には同町伊延港公園に生産拠点を作り、大量生産に向けた研究をスタートさせる。

 医薬品臨床関係の業界で国内トップクラスの同社は、2014年にウナギ種苗(=シラスウナギ)生産研究部門を立ち上げ、17年11月には地下水をろ過して再利用する循環型システムでの人工種苗生産に世界で初めて成功。昨年8月から研究拠点を鹿児島県指宿市に移し、大量生産に向けた研究を進めてきた。

 今回の事業では、地下水の代わりに海水を利用。シラスウナギの生産に適した高い水温と安定した水質を持つ候補地として沖永良部が挙がった。

 生産施設は、同町伊延港公園の敷地の一部(2231平方㍍)に建設。新年度から研究をスタートし、3年以内に1万尾の生産を目指す。

 調印式には、同社の関係者や町議のほか、町と企業の仲介を務めた鹿児島銀行沖永良部支店の職員など約30人が参加した。

 伊地知実利町長は「これからの研究の成果が楽しみ。島の豊かな自然を生かした、島独自の産業が生まれることで、多くの人に沖永良部を知ってもらい、さらには雇用の創出、地域の産業発展に大きな力となってほしい」と期待を込めた。

 新日本科学の永田良一会長兼社長は「大量生産のハードルは高いが、その目標をクリアするための適した場所として沖永良部を選んだ。まずは1万尾を生産し、そこから100万、1000万と上げていきたい。それには大きなエネルギーが必要だが、あきらめずに一歩ずつ進め、島の活力につなげたい」と話した。

 ニホンウナギは、生息地の減少や過剰な捕獲などにより絶滅危惧種に指定。その養殖には、天然のシラスウナギを採取し育てているが、近年はシラスウナギの減少で養殖業の存続が危ぶまれている。