伊仙町阿権 ウオークマップ作成

伊仙町阿権 ウオークマップ作成

住民の協力で地域の新たな宝を発掘、魅力も倍増(阿権のガジュマルめぐり)=24日、伊仙町阿権
集落サイドで作成したウオーキング・ガイドマップ

「石垣とガジュマルの里」 住民主導で魅力倍増

【徳之島】伊仙町阿権集落で24日、「卒業記念!春のウオーキング~阿権のガジュマルめぐり」があった。1年越しの住民ワークショップで足元の新たな宝も発掘し、地元在住のイラストレーター竹添星児さん(37)がガイドマップを作成。家族連れなど約60人が約4㌔コース上の計9カ所の巨樹を訪ね、歴史と大自然が育んだ神秘的な威容に歓声を上げた。

今回、集落独自に取り組んだガイドマップは『珊瑚と石垣とガジュマルの里、阿権を歩こう―AGON TRIP GUIDE TOKUNOSHIMA』(A3サイズ裏表)。

住民と計4回のワークショップ(現地含む)を重ねて構想を練り、竹添さんが企画・発行・デザイン・イラスト・撮影など全面的に協力。鹿浦川と阿権川の両渓谷(奄美群島国立公園第2種特別地域)で区切られかつては〝陸の孤島〟とされた同集落。珊瑚の石垣や樹齢「300年ガジュマル」、阿権八幡神社、民家など琉球と大和(本土)文化が混在する様子も解説。0・5㌔のショートから5・8㌔のロングまで計5コースとそれぞれの特徴を紹介している。

自らガイド役も務めた竹添さんは開会あいさつで、「健康づくりにみんなで歩く運動習慣のきっかけにもなって欲しい。ガジュマルは防風林に植えられ、ケンムンの妖精がすむとも言われる神聖な樹。いろんな大きさと形があり、楽しんでほしい」。

阿権小児童ら「島っ子ガイド」も指導し、今年度エコツアーガイド育成事業(奄美群島広域事務組合主催)の講師で来島中の西村千尋・長崎県立大学教授(54)=同町犬田布出身=も参加。「こうした住民ベースのイベントは少なく、素晴らしいマップもできた。『また来たいよね』とか話し合うともっと良くなる」。近く、阿権集落に夫婦で移住し、ウオーキングを核に、伊仙町民の健康増進にも参画する方針も示した。

参加者たちは、自然に帰した屋敷跡に息づき住民の雑木伐採など協力で〝発掘〟され全容を現した巨樹など新たな名物に驚嘆。縦横に気根を伸ばした重厚さや神秘的な表情の数々も満喫しながら約4㌔コースを満喫。

家族4人で参加した同地の實(さね)智子さん(40)は「300年ガジュマル以外にもこんな凄いガジュマルがあることを初めて知った。子どもが小さいのでどうかなと思ったが、散歩がてら、気兼ねなく参加できるのがいい。こうしたイベントを通じて阿権の活性化になれば」と話していた。