陸上自衛隊の隊員約200人が市中パレードを行った(瀬戸内町古仁屋)
防衛省陸上自衛隊の奄美駐屯地(奄美市名瀬大熊地区)、瀬戸内分屯地(瀬戸内町節子地区)が26日に開設したのを受け、31日、同駐屯地内で記念セレモニーが開かれる。開設した地元では自衛隊側との懇親会(29日夜)や、30日は古仁屋市街地で市中パレードが実施され、奄美大島島内は自衛隊への歓迎ムードが高まっている。
駐屯地・分屯地は南西島しょ部での防衛力強化として整備。奄美大島の駐屯部隊として「奄美警備隊」を新たに編成し、隊員約560人が勤務する。
セレモニーは陸自第八師団(熊本県熊本市)の主催。同省幕僚や西部方面隊、同師団の幹部約50人が出席する。
来賓には地元選出の国会議員や県議、自治体関係者など約100人を招待。式では▽儀仗▽編成完結報告・隊旗授与式▽除幕式―を行うほか、招待者を対象に駐屯地・分屯地での施設公開、装備品展示もある。
同日は島民サービスの一環として、航空自衛隊「ブルーインパルス」(6機編成)の展示飛行を午後0時25分ごろ、名瀬港上空で10分間予定している。
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開設記念セレモニーを前に、瀬戸内分屯地の開設を祝う市中パレードが30日、瀬戸内町古仁屋の市街地であった。同分屯地と第8音楽隊(北熊本駐屯地)の隊員約200人が集結。演奏に合わせ、一糸乱れぬ足並みでの行進を町民らが見守った。
町と同分屯地の共催。同分屯地に配備される、▽普通科中隊▽第301地対艦ミサイル中隊▽地対艦ミサイル直接支援小隊―の隊員が正装で300㍍を行進。沿道の住民は日の丸の旗を振り、隊員らに続いて練り歩く様子も見られた。
古場太佑・瀬戸内分屯地司令は「うがみんしょーらん(島口でこんにちは)」とあいさつし、「地元の住民になったことをあらためて実感。第2のふるさととして使命を果たしていく」と意欲を語った。
家族で訪れた義永健人さんは「災害時に守ってもらいたい」。娘の珠希さんは「パレードは足がぴったりとそろっていて、かっこよかった」と話した。
県隊友会瀬戸内支部の碩悟支部長は「自衛隊がいることで、災害時も安心でき、国防面でも心強い。町民が沿道に立つ姿を見て、隊員に歓迎の思いが伝わったのでは」と目を細めた。
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地元の防衛協力団体は29日夜、奄美市内の集宴会場で吉田圭秀・第八師団長、同警備隊幹部22人を招き、歓迎懇親会を開いた。行政や経財界、地元など約230人が参加。防衛関係者との親睦を図った。
主催は隊友会奄美支部、奄美市防衛協力会青年部、家族会など5団体。参加者を前に平田浩二・奄美警備隊長兼奄美駐屯地司令は、「地元に根ざした組織を目指し、まずは信頼関係の構築を重視していきたい」と抱負。
奄美大島商工会議所の谷芳成会頭は常駐隊員による人口増に触れ、「経済効果は大きく、今後多くのメリットが生まれる」と喜んだ。