徳之島伝来の名器を披露

徳之島伝来の名器を披露

最古の三線を演奏する森さんと音色に聴き入る所有者の島岡さん

島岡さん所有「直富主の真壁」
沖縄三線最古の胴

 胴部分が国内最古と鑑定された徳之島伝来の沖縄三線「直富主の真壁」を所有する神奈川県在住・島岡稔さん(78・奄美市名瀬出身)は29日、奄美市名瀬の大島支庁記者クラブを訪れ同三線を披露した。島岡さんは「以前弾いてもらった故・築地俊造さんも座敷三味線として楽しく使っては話していた。飾っているものではなく、(取材を通して)極力多くの人に弾いていただきたい」と話した。

 三線は、徳之島阿権村(現在の伊仙町阿権)の有力者・尚家の二代目直富が首里を訪れた際、もみ30俵と交換した名器。島岡さんの父で故・直行さんが、1968年の土地改良事業の功績として、いとこから譲り受けた。

 三線胴内には、道光5年(1825年)を示す「道乙酉」の文字と、作者名「渡慶次」が墨書で銘書き。昨年10月に沖縄県立博物館が再鑑定を行い、現存する最古のものと確定した。

 材質は、棹が黒檀、胴がイスノキで、ニシキヘビの皮張り。190年を超えるものは、沖縄でも極めて希少で、2月5日からの約1カ月間、同博物館でも展示された。

 この日は、親戚同士の寄合いで奄美に帰省し、同クラブを訪問。一緒に訪れた奄美市在住の唄者・森英也さん(67)が「朝花節」などを演奏し、その色あせない音色を披露した。

 三線を試奏した森さんは「全体的にコンパクトな作りで、(奄美の三味線よりキーが低いことから)唄遊びなどに向いているのでは」など評価。奄美の三味線と弾き比べを行うなど、島岡さんも目を閉じ、悠久の音に聴き入った。

 島岡さんは「シマ唄はみんなで楽しむのが文化。(希望者には)極力貸し出したい」と話し、自身も「弾く練習をしたり、唄の歴史を掘り下げるなど、三線の勉強をライフワークに、これからも大切にしたい」と笑顔で話した。