遺族に要望書の回答を手渡す朝山市長
2015年11月に奄美市内の公立中学1年の男子生徒が自殺した問題で2日、朝山毅市長は今年1月に遺族が提出していた市長に対する要望書についての回答書を遺族側に手渡した。回答のなかで朝山市長は、市教委が今後設置する再発防止対策検討委員会で、生徒指導の在り方などを検討、再発防止に取り組む姿勢を示したが、遺族側は「踏み込んだ回答はなく残念」と、具体的な再発防止策が示されなかったことに不信感を募らせた。
遺族への回答は市役所で行われ、冒頭のみ報道機関に公開され、回答後、遺族と遺族代理人の鈴木穂人弁護士が記者会見を行い、朝山市長からの回答内容を明らかにした。
中学生の自殺を巡っては、遺族の要望を受け市が設置した第三者委員会が昨年12月、自殺原因について「担任教諭の不適切な指導や家庭訪問が生徒を追い詰めた」などと報告、これを受け遺族側が、自殺原因に対する市長の見解や具体的な再発防止策やその履行状況などをチェックする第三者機関設置などを求めていた。
市長の回答書では、市教委が明確な判断材料がない中で、自殺した生徒がいじめを行ったと断定したことに対し、「重く受け止め、このようなことが二度と起こってはならないと考えている」などとする一方、第三者機関の設置など具体的な再発防止策の要望については、再発防止対策検討委員会で検討することを理由に具体策を示さなかった。
こうした朝山市長の回答について、遺族である男子生徒の父親は「納得できる内容ではないが、再発防止に向けた市長の思いは伝わってきた。今後は、当事者である市教委が、どのような具体的な再発防止策を示すことができるのか注目し、協力できることがあれば協力したい」と話した。
一方で、要望書提出後も、市教委側からこの問題に対し、一度も報告や連絡がない状況に父親は、「市教委は、問題の当事者として、真摯に反省し、再発防止に取り組む考えがあるのか疑問を持っている」と話し、鈴木弁護士も「これだけの問題が起きたのに、市教委として誰も責任を取っておらず、憤りを感じる。このまま再発防止の動きが止まってしまうことを危惧している」と市教委への不信感をあらわにした。