納付書の記載元号を「令和」表記にした奄美市(写真はサンプル)
電子情報画面ではすでに「平成→令和」が表示(写真は奄美市役所)
新元号「令和=れいわ=」は、皇太子さまの即位に伴い、5月1日午前0時から施行される。システム変更などの移行期間として1カ月前の4月1日、政府発表されたのを受け、自治体や業界は事務書類などに表記する元号名の書き換えに取り掛かっている。天皇陛下退位と皇太子さまの即位までのスケジュールが事前に公表されたためか、元号発表翌日の2日も各方面で大きな混乱はみられず、「平成元号スタートに比べると、意外に静か」との声も聞かれた。
改元をめぐり、政府は昨年、国民生活への影響を配慮し、新元号を事前公表する方針を決定。奄美の自治体関係者によると、昨年5月、政府から改元に伴う情報システムの改修など準備を進めるよう通達があったという。
奄美市企画調整課は、発行する納付書や通知書の表記を切り替えるため、1日午後からシステム変更に着手、2日までに完了した。5月以降の文書は「令和」で表記される。
市側は文書の取り扱いについて、以前の発行した分(平成32年など)の表記も「法律上効果は変わりない」と広報誌やホームページで呼び掛け。本庁舎内の電子画面(デジタルサイネージ)では、すでに「平成→令和」を表示し、市民の新元号浸透を図っている
金融業界も同様だ。国・監督庁から混乱を招かない顧客対応の徹底を求められているとして、奄美の金融機関はすでに切り替え作業に入っている。
奄美信用組合(本店・奄美市名瀬)はパソコン事務、ネットワークでの切り替え作業に着手。申請用紙の「平成」部分は、暫定的に訂正印(二重線)と「令和」をゴム印で表記する対応を予定。盛岡勉・総務部長は「残り1カ月。手形や小切手の取り扱いなどを含め、顧客周知と切り替え準備につとめたい」と話した。
商業分野での動きはさまざま。同市名瀬の印刷会社によると、30年前の改元の際、西・和暦の表示問題を踏まえ元号不使用の年月日が増えたことを明かし、「デジタル化でゴム印の使用頻度は少なくなった。改元に伴う印鑑発注は比較的静か」(関係者)とも。なお「R(れいわ)年月日」表記発注はあったという。
一方、早くも新元号をパッケージにあしらった加工品も登場。宇検村湯湾の「なおじろう農園」(杉浦喜久代代表)は販売する地元産「タンカン100%ジュース」に「祝・令和」と貼付し、イベント会場で販売。担当者は「おそらく島内最速では(笑)」と商魂たくましくPRする。
天皇陛下の退位と新天皇即位に伴う、4月27日から5月6日まで10連休となる見通し。行政・金融機関は「原則土・日・祝日の休日対応」としているが、異例の長期間に対応内容の検討を進めている。
即位日が大安となっており、さらに“新元号施行記念”での入籍届出の増加が予想されるが、多くの自治体は「これまで通り、書類は当直による受付。職員配置はいまのところ考えていない」。
金融機関は、期間途中のATMの紙幣補充を検討する。連休明け後の引き出し対応、改元に関連した問い合わせ増を懸念し、ある金融機関担当者は「連休明け後が本格的な改元対応になる」と語った。