オーストンオオアカゲラ繁殖シーズン

シイの太い枝で営巣にいそしむオーストンオオアカゲラの雌

雌が営巣する近くで大きな音をたてながらエサを探すオーストンオオアカゲラの雄(撮影:西田元気)

見守られ営巣 作業に没頭
龍郷町奄美自然観察の森

 奄美大島の固有種で国の天然記念物のオーストンオオアカゲラが繁殖シーズンを迎え、営巣にいそしんでいる。12日、龍郷町の奄美自然観察の森ではバードウォッチャーたちに見守られる中、「タララララ」と軽快な音を立てつつ、木に穴を空ける作業に没頭していた。

 NPO法人奄美野鳥の会(鳥飼久裕会長)発行の『奄美の野鳥図鑑』によると、オーストンオオアカゲラは国内に4亜種が知られているオオアカゲラの亜種の一つ。奄美大島の深い常緑広葉樹林にのみ生息している。亜種の中では際立って黒っぽい羽根色が特徴的。詳しい生息数・生態については分かっていない点が多い。繁殖期にあたる春先には、イタジイなどの木の幹に穴を掘り営巣する。

 同日午後、カメラを構えたバードウォッチャー3人の視線の先で、雌が営巣。その近くの木のうろの中では雄がエサを探していた。時折遠くから聞こえるルリカケスの「ギャーギャー」という鳴き声に驚いてか、うろから顔を出し様子をうかがう姿も見られた。

 同施設の川畑力自然観察指導員によると、営巣を始めたのは3月下旬ごろで、例年通り。今後巣を作り終わった後に産卵する。ひなが巣立ちするのは5月下旬ごろから6月ごろになる見通しという。

 営巣中にストレスがかかると作業をやめてしまう可能性もあり、川畑自然観察指導員は「掲示している注意書きに従って、観察してほしい」と呼び掛けている。