5年間で通訳案内士80人育成へ

5年間で通訳案内士80人育成へ

中国から訪れた外国人観光客をもてなす地域通訳案内士ら

 

奄振事業で推進 インバウンド対応の強化期待
広域事務組合

 

 奄美群島を訪れる外国人観光客の増加に伴い、受け入れ態勢の機能強化などが求められるなか、奄美群島広域事務組合は今年度、2017年度まで実施していた通訳案内士の育成事業を再開する。2023年度までの5年間で、奄美群島の自然や文化に関する知識を持ち、英語や中国語、韓国語を話せる「地域通訳案内士」約80人を新たに育成する計画だ。

 地域通訳案内士は、昨年1月に施行された改正通訳案内士法に基づく資格で、自治体などが実施する研修を受講後、語学力と観光ガイドに必要な知識などに関する口述試験に合格、登録申請すると認定される。奄美では奄美群島広域事務組合が事業主体となって実施する。

 同事務組合では、通訳案内士法改正前の16、17年度、奄振法に基づく「特例通訳案内士」の育成に取り組み、2年間で英語81人、中国語26人の計107人を育成した。「特例通訳案内士」は法改正に伴い、現在は「地域通訳案内士」となっている。

 18年度は育成した通訳案内士のスキルアップを図ったこともあり、新たな育成は行わなかったが、世界自然遺産への登録を控え、より多くの外国人観光客の増加が見込まれることから、今年度は奄振予算約2100万円(非公共)を活用、語学や奄美の自然文化、旅行日程などの管理知識などに関する研修カリキュラムを組むことにしている。

 同事務組合によると、育成事業に必要な「奄美群島地域通訳案内士育成計画」が3月26日、観光庁の同意を受け策定された。今後、奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の各島で研修を行う予定で、各市町村などを通じて案内士の資格取得希望者を募集する。

 同事務組合によると、通訳案内士は、英語検定2級、中国語検定3級、韓国語能力試験4級程度の語学力が必要。同事務組合では、まず20年度末までの2年間で英語23人、中国語10人、韓国語13人の計46人の育成を目指す。さらに23年度末までに英語21人、中国語と韓国語各6人を育成し、「地域通訳案内士」を186人まで増やす計画という。

 今年度は、2言語の通訳案内士の育成に取り組む予定で、英語、中国語、韓国語のうち、どの言語になるかは未定。研修開始時期などもまだ決まっていないが、同事務組合は「インバウンド(外国人観光客)増に伴い、通訳案内士のニーズも高まっている。できるだけ早く事業をスタートさせ、通訳案内士として活躍できる人材育成に努めたい」としている。