ブランド化へ選果場利用促進を

着色不足など粗悪なタンカンが市場で流通している問題が議論された(提供写真)=一部修正しています=


「奄美たんかん」のブランド化に向け、生産者、JA、仲買人、行政などが集まり意見を交わした

粗悪品流出防止に情報共有
「奄美たんかん」出荷検討会

 JAあまみ大島事業本部生産部会連絡協議会果樹専門部会(大海昌平部会長)は24日夕、奄美市名瀬の市役所会議室で「奄美たんかん」の出荷にかかわる検討会を開いた。初となる検討会に生産者やJA、市場関係者、行政などが出席し、市場に粗悪品が流通する問題や「奄美たんかん」のブランド化に選果場利用を促進させる対応策などについて意見を交わした。市場関係者から選果場で品質保証されたタンカンの流通を求める意見などがあり、同部会は粗悪品が流通しないよう検討会を今後も続ける方針を示した。

 趣旨について大海部会長が「今年のタンカンの状況を見て、市場やJAに出ているものがひどすぎて産地としてもまずいと思い集まってもらった。忌憚=きたん=のない意見を出してもらいたい。前に進んでいける会にしたい」とあいさつした。

 約40人が出席し、大海部会長が司会として会議を進行。JAや名瀬中央青果㈱から、2016~18年度産のタンカン選果・販売実績や取扱実績などが報告された。

 18年度産のJA共販量は6万7675・7㌔、選果場が稼働してから過去最低だった。市場では18年度産21万4660㌔を取扱い、1㌔あたりの平均単価は367円だった。

 問題点として、市場に着色不足など外観が悪いタンカンが流通していたことや、同じランクでも品質にばらつきがあることが仲買業者などから指摘された。

 また仲買人からは、「選果場を利用し光センサーで品質保証されたタンカンを買いたい」とする意見があった。生産者側からも「この会議に出席して初めて、仲買人たちが選果されたタンカンを求めていると分かった。農家はもう一度原点に戻り、タンカンは選果場を通して出荷するという約束事を思い出してやっていくべきだ」と意見が出された。

 JAに選果を委託している生産者は、「選果に伴う手数料が高いと思われているが、1㌔あたり30円の価格差を設定すれば、採算がとれる」と説明。大海部会長も「選果場に通さないと、品質面で購入者に迷惑がかからないか怖い。選果料はかかるが通すことで、品質面は保証される」とメリットを強調する。

 その他、JAに指導員増員を求める意見や、市場側で粗悪なタンカンを引き取らないで生産者に持ち帰るよう指導してもらえないかなどの意見があった。

 大海部会長は「部会としてもこうした情報を今後も共有したい。今回いただいた意見を各自が持ち帰り、少しでも問題が解決され前に進むよう協力をお願いしたい」と語った。

 次回の検討会は、11~12月ごろに開催される見込み。