奄振審議会

第112回奄美群島振興開発審議会が行われた霞が関の国土交通省共用会議室

民間と連携の支援強化
景観条例制定など意見 新会長に大川氏を選出

 【東京】国土交通省は25日、東京都千代田区の中央合同庁舎で第112回奄美群島振興開発審議会(会長・原口泉志學館大学教授)を開いた。今年4月に改正・延長された奄美群島振興開発特別措置法について、出席委員から景観条例制定や出身者などとの交流推進を求める意見などが出された。

 同審議会は、奄美群島の振興開発に関する重要事項を調査審議する機関として国交省国土政策局に設置。同会は原口会長が退任したことから新会長の互選を実施し、大川澄人ANAホールディングス㈱常勤監査役が会長に選出された。

 国交省から、奄美群島振興開発の基本方針などを説明。「奄美群島は豊かな自然環境に恵まれ、多様で個性的な伝統文化や温暖な気候等、他の地域にない魅力を有している。振興開発を着実に進め本土との格差是正や諸課題の解決を図っていく」。

 また振興開発の方向を▽奄美群島の特性を生かした産業の発展による雇用機会の拡充▽世界自然遺産推薦地及び国立公園としての環境保全と地域資源を生かした観光振興▽奄美群島全体としてのポテンシャルの発揮▽住民の生活の利便性の向上▽社会資本の整備及び維持管理―などと説明した。

 さらに振興開発を図るため▽国、県、群島内市町村、奄美群島振興開発基金、民間事業者の連携を強化し、ソフト・ハード両面から効率的、効果的な施策展開に務める▽地域の創意工夫をより一層促し奄美群島の成長戦略をより加速させる。そのための雇用拡充、人材育成または交流人口拡大に資する事業のうち、民間と連携した新しい取り組みに奄振興交付金による支援の強化が図られる。

 この後、意見交換会が行われ、「台風の被害など防災対策を進めてほしい」「若い人たちに地域に関わってもらうネットワークづくりを」などの意見も出た。

 地元から出席した伊集院幼大島郡町村会会長は、「景観条例制定は県と早急に」と語った。また、独自に親子山村留学を始めたが、7家族33人から現在は2家族10人になっていることを紹介。「島の人と交流しながら生活できるように進めていかないといけないと反省している」と語り、農業体験も始めることから、「島の文化と人との交流を進め、さらにリピーターになってもらうためにどうすればよいか考えていきたい」とした。