バニラ・関西便 最終運航に惜しむ声

バニラ・関西便 最終運航に惜しむ声

バニラブランドとして最後の就航となった大阪便(奄美空港、6日午後5時ごろ)

搭乗総数19万人超え
奄美空港で手を振る姿も

 格安航空会社(LCC)バニラ・エア(井上慎一代表取締役社長、千葉県成田市)の奄美大島―大阪(関西空港)便が6日、最終運航を迎えた。2017年3月から1日1往復で運航。最終便となるこの日は関空発162人、奄美発174人が搭乗した。関空に向かう就航機(エアバスA320)に手を振る関係者の姿が見られた。

 2年前の3月26日の運航開始から、同日の最終日まで総運航便数は1481便、総提供座席数は26万640席で、搭乗者総数は19万人超え(奄美新聞調べ)。

 同社はANAホールディングス100%出資のLCC。2014年7月、奄美群島初のLCCとして、奄美大島―成田(成田空港)便が就航。奄美出身者の多い関西圏から就航要望は高かったことから、成田に続くLCCとして就航させた。

 昨年3月、同じANA系列のLCC「ピーチ・アビエーション」社との統合を発表。バニラとしての運航は10月26日までとし、奄美路線は成田便が8月31日で終了。以後はピーチブランドで展開し、成田線は10月1日から、関西便は冬季ダイヤ期間中の再開見通しとなっている。

 バニラ大阪便が最終日を迎えたことを受け、同社広報は「奄美を結ぶバニラ社第二の路線。2年1カ月もの間、奄美出身者の生活路線、関西圏からの観光誘致など貢献させていただけたと感じている。今後も奄美の魅力を提供する路線として地域に親しまれるようつとめたい」とコメントした。

 満井祐希さん(44)は、宇検村久志出身の父・数一さん(77)の里帰りも兼ねて家族8人で来島。満井さんは「大人数なので値段が安い恩恵が受けやすかった。早期の運航再開を望む」。数一さんも「子どもたちと一緒にまた来たい。値段の安い便が戻ってほしいね」とそれぞれ惜しむ声を寄せた。

 関空行きの上り便は満席。奄美空港では見送り客だけでなく、エプロンでも同社スタッフが手を振って見送り。同機は定刻(午後5時15分)通り、大阪に飛び立った。

 関西圏からの帰省や観光客にとって重要路線だったことから、奄美の観光団体や経済済界から早期再開を望む声があがっている。ピーチ社は奄美新聞の取材に対し、地元要請を踏まえ「(統合後の)国内・国際線全体で計画を踏まえながら、現在検討を進めている」(広報)とした。