奄美海上保安部は海難事故防止のために多種のリーフレットやポスター等を用意し、啓発活動を行う
今月に入って3人。奄美群島内での海難事故による死亡者数だ。いずれもマリンレジャー中の事故で、大型連休を最終日の6日以降に立て続けに発生している。夏のレジャーシーズンが本格化する前の事故多発に奄美海上保安部は、海に入る際のライフジャケットの着用などの防止策を呼び掛けている。
同保安部によると、奄美群島周辺海域での人身海難事故件数は2018年で22件(前年比2件減)。うちマリンレジャー中の事故は11件で死者は3人。同保安部はポスター掲示やリーフレット配布、幅広い年齢層への講習会など多くの手段で周知を図るものの、件数は横ばいという。啓発は例年継続して実施しており、今年も宿泊施設やバスなどへのポスター掲示を予定している。
泳ぐときの注意としてリーフレットに挙げられるのは、▽危険な場所には近づかない▽風が強い時・波が高い時は海に入らない▽ライフジャケットを着用する▽飲酒したら泳がない―など、一見当たり前のことばかり。しかし、死亡した3人はライフジャケット未着用で、風速10㍍の風が吹く中の事故もあった。
特にライフジャケット着用は重要で、海上保安庁の調べでは、シュノーケリング中のライフジャケット非着用者の死亡・行方不明率は着用者の2倍以上にのぼる。同保安部交通課の緒方猛課長は「ライフジャケットは車のシートベルトと同じ感覚で、岸壁釣りなどでも着用してほしい。事故は『自分は大丈夫』という意識があったのでは。島民に向けた周知も必要」と語る。
緒方課長は観光客等に人気のシュノーケリングについても、ライフジャケットの着用のほか、①基本的な技術の習得②水が入ったら外すこと③バディ(複数人)行動―などの事故防止法を挙げ、「慌てないように準備することが大切。素潜りをする人は、ライフジャケットがつけられないが、監視の目があるところで、気象条件を見て海に入ってほしい」と呼び掛ける。
また、サンゴ礁に囲まれた奄美群島では離岸流への注意も必要だ。岸に対して平行に泳いで脱出するという認識は誤りだそうで、緒方課長は「リーフの形が複雑なので、流れの向きもそれぞれ。流れに対して直角に泳ぐべき」と話した。