4割が「義務でない」と誤認

後部座席シートベルト着用 「命綱、確実に着用を」

 県警本部がこのほど発表した「後部座席シートベルト着用に関するアンケート調査結果」によると、着用を「高速道路のみ義務」、「義務ではない(努力義務)」と誤った認識を持っている人が約4割に上った。また一般道での着用について問う質問に「必ず着用する」と答えた人は27・2%と低水準。結果を踏まえ、奄美署の竹下直志交通課長は「シートベルトは自分の命を守る命綱。確実に着用し、悲惨な交通事故を1件でも減らしましょう」と呼び掛けている。

 今回の調査は、(一社)日本自動車連盟(JAF)と警察庁が合同で実施した調査で、鹿児島県の着用率が全国平均値の5割以下だったことを受け、県警が今年1~2月に実施。県内の運転免許保有者3025人に着用状況や、意識を聞いた。

 一般道で着用しない人に理由を問う質問では「習慣になっていないから」との回答が35・6%と最も多く、次いで「義務ではないと思っている(いた)から」が24・1%。また一般道で後部座席の人にシートベルト着用を促すかどうかを問う質問も「必ず促す」が22・7%に対し、「まったく促さない」・「あまり促さない」が54・4%。この理由を問う質問についても「義務ではないと思っている(いた)から」が24・6%を占める。着用による被害軽減効果の認知度は76・9%と高い一方で、義務であることが知られずに着用しない・着用を促さない人が多い現状が露呈した。

 後部座席のシートベルト着用は2009年の道路交通法改正により義務化。高速道路・自動車専用道で違反した場合は1点減点となるほか、着用していない状態で事故にあった場合、被害者の過失として十分な補償が受けられない可能性もある。

 竹下課長によると、着用しないと事故発生時に車内で全身を強打、車外に放り出されるなどの危険性がある。前席乗員が頭部に重傷を負う確率も高まり、着用時の51倍という統計もあるそうだ。事故の際の致死率も一般道では着用時の約3・5倍、高速道路では約9・2倍に上るという。

 同署管内の統計はないが、竹下課長は「義務化されていることを知らない人が意外と多い実感がある」。同署は学校や事業所での交通安全教室で後部座席でのシートベルト着用を促す講話を行うほか、巡回や取り締まり時にも呼び掛けるなどの広報を実践している。