マイクロチップ装着義務化

マイクロチップを装着した猫のぬいぐるみで機器を使い読み込みの実演(資料写真)

改正動物愛護法が成立
奄美大島と徳之島 8市町村は条例改正済み

 ペットの遺棄や虐待の防止策を強化する改正動物愛護法が12日午前、参院本会議で全会一致で可決され成立した。飼い主の情報を登録したマイクロチップを犬や猫に装着することを義務化。奄美大島や徳之島の市町村では、既に各自の条例で猫のマイクロチップ装着などが義務化されているものの、引き続き住民への周知に力を入れて猫の適正飼養を訴える考えだ。

 改正案は、超党派の「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」(会長・尾辻秀久参院議員)が、議員立法で提案。施行は公布から1年以内だが、マイクロチップ装着義務化については同3年以内、販売できる時期を生後8週超にする「56日規制」は同2年以内になる。

 装着義務化の対象は、ペットの繁殖業者などで、業者から犬猫を買った飼い主は、チップの飼い主情報などを変更する義務が生じる。現在、すでに犬猫を飼っている人については、装着は努力義務となる。

 改正法ではこのほか、動物虐待罪の法定刑が殺傷した場合の「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」を、2倍以上となる「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に引き上げ。遺棄や虐待は「100万円以下の罰金」を、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に強化される。

 奄美大島や徳之島の8市町村は2017年6月までに、各自治体の議会で「飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例」を改正し、飼い猫のマイクロチップ装着や外で飼う場合の避妊去勢手術などが、飼い主に義務付けられていた。飼い主の義務規定に違反した場合の罰則規定は、18年1月から施行。奄美大島5市町村の飼い猫登録数は19年2月末で、4374匹となっている。

 環境省奄美群島国立公園管理事務所の早瀬保奈実国立公園管理官は、「希少種保護の観点から、マイクロチップ装着の義務化は重要な発生源対策。これをきっかけに奄美でも犬や猫の適正飼養がさらに図られれば」と話した。

 奄美大島ねこ問題対策協議会(会長・平田博行奄美市環境対策課長)の平田会長は、「装着義務はペット業者などで、(飼い主が)明記されなかったのが少し残念。猫の適正飼養を今後も周知していきたい」と語った。

 奄美ネコ問題ネットワークの久野優子さん(奄美猫部・部長)は、「悪質な繁殖業者などが問題視されての、販売されるペットへの装着が全国で義務化されるのは、ペットの適正飼育向上に向けては大きな前進。だが悪質な繁殖業者や、殺処分を回避する名目で保護したはずの保護団体での行き過ぎた飼育が問題になっている。本当の愛護とはどういうことか、これからも冷静に議論して良い法律にしてほしい」と話した。