近隣から驚きと不安の声

近隣から驚きと不安の声

スクールガードや警察官が立哨する中、登校した奄美小学校の児童ら(19日午前7時半ごろ)

 

最寄りの奄小、保護者同伴で登校
小俣町殺人事件、捜査続く

 

 奄美市名瀬小俣町で瀧田得枝さん(87)が自宅で腹などを刺され殺された事件で、捜査本部は19日も捜査を続けた。突然の事件に対し近隣住民からは驚きと不安の声も挙がる。最寄りの小学校にあたる同市名瀬の奄美小学校では早朝から児童の登校に同伴する保護者らの姿が見られた。

 事件は16日夜に瀧田さんが血を流し、死亡した状態で発見されたもの。司法解剖の結果、腹部などに複数の刺し傷があった。死因は出血性のショックの疑いとされ、警察は殺人と断定。18日午後5時45分に捜査本部が立ち上げられた。

 19日は午前8時半ごろから80人態勢で捜査。現場検証のほか、近隣住民への聞き込み、周辺の防犯カメラ映像の確認を実施。凶器の発見には至っておらず、また近隣とのトラブル、住宅から盗まれたものがあるかなどは確認されていない。

 近隣に住む男性は「ニュースで殺人と知り驚いた。誰かの恨みを買うような人ではなかった」などと語った。

 奄美市教育委員会は奄美署から事件の連絡があった17日昼以降、市内各小中学校と公立幼稚園に対し、▽可能な限りの集団下校▽防犯標語「いかのおすし」の実践▽奄美あんぜん・安心メールの活用―を指示。事件現場からほど近い奄美小学校ではこれに加え、可能な限り、登校時に保護者が同伴するよう呼び掛けている。

 殺人事件と断定されてから初の登校となる19日は、午前7時ごろから保護者同伴で登校する児童らの姿が見られた。校門前には近隣の交番勤務の警察官、スクールガード、地域住民が立哨。通学路では保護者らも見守った。

 小学3年の息子を送ったという同市名瀬真名津町の女性(47)は「別件で不審者情報のメールも来ており、心配で付き添ってきた。身近でもこういう事件があるという驚きと恐怖を感じる。長引けば長引くだけ大変なので早く解決してほしい」と不安をこぼす。

 毎月第3水曜日に校門前で立哨する久里老人クラブ「再春会」の叶初枝さん(79)は「子どもたちも不安を感じているだろうから、目線を下げ、小さい子たちにあいさつした。次の立哨をするときには明るい気持ちで見守れるような状態になれば」と早期解決への期待を込めた。