屋鈍集落、依然孤立

土砂崩れで全面通行止めとなった県道曽津高崎線の状態(22日午前9時半撮影)

復旧見通し立たず、海上輸送で対応
降り続く大雨、23日も土砂災害注意 古仁屋、48時間雨量313㍉

 停滞する梅雨前線の影響で、20日から局地的な雨が続いている奄美地方は、23日も大雨となるおそれが出ている。幹線道路の土砂崩れで孤立状態にある宇検村屋鈍集落(29世帯56人)では現在、同村が借り受けた漁船で海上輸送を実施しているが、復旧のめどはたっていない。名瀬測候所は降り続く雨で地盤が緩んでいるとして、引き続き土砂災害への警戒を呼び掛けている。

 奄美地方に停滞する前線の影響で、奄美大島と徳之島、喜界島では20日から雨が降り続いた。気象庁発表の48時間雨量を見ると、313㍉を観測した瀬戸内町古仁屋は6月観測史上1位を記録。そのほかでは伊仙町224・5㍉、天城町207㍉、喜界町175㍉、奄美市名瀬152・5㍉―を観測した。

 この大雨で、宇検村の県道曽津高崎線と瀬戸内町加計呂麻島の県道安脚場実久線で土砂崩れが発生し、21日午後から全面通行止めとなった。所管する県大島支庁瀬戸内事務所建設課は現地確認後、「天候の回復を待って早急に作業に入りたい」としているが、復旧見通しは未定だ。

 同村は屋鈍集落の孤立を受け、災害協定を結ぶ村漁協から船舶をチャーター。22日は朝夕2回、集落と平田漁港間を物資や通勤者の移動を行った。

 崎初夫区長は「いまのところ大きな問題はないが、雨が続き土砂災害の不安がある」と話した。集落内には近隣の小中学校に通う児童生徒5人が住むため、今後の住民生活に懸念を示している。

 22日、奄美地方では発達した雲が移動し、前線の活動は小康状態となったため、瀬戸内町全域への避難勧告、奄美市など6自治体への大雨警報は午後4時までに解除された。空の便は午前中を中心に9路線で影響が出、奄美大島―喜界島の往復便が欠航したほか、21便が遅延した。

 名瀬測候所によると、23日未明から前線の活動が再び活発化する見通し。同日明け方から局地的に雷を伴い非常に激しい雨が降るため、土砂災害発生のおそれがあるとして注意を促している。