奄美市女性殺人事件、発覚から1週間

現場周辺で捜査を続ける県警

周辺住民不安の声
県警、聞き込みなど捜査続く 14日午前に目撃情報も

 奄美市名瀬小俣町の無職瀧田得枝さん(87)が何者かに殺害され、自宅で遺体で発見された殺人事件は、16日の発覚から1週間が経過した。県警は奄美署に捜査本部を置き、23日も聞き込みや現場検証などを続けているが、容疑者の特定には至っていない。瀧田さんの交友関係などについて慎重に捜査、不審者情報なども含め容疑者の特定を急いでいる。

 奄美署によると、16日午後8時半ごろ、瀧田さんと連絡が取れないため安否確認で訪れた親族が、寝室で血を流し倒れている瀧田さんを発見した。司法解剖の結果、瀧田さんは、腹部などを刃物のようなもので複数回刺されており、死因は出血性ショック。県警は死亡時刻について、13日夕から15日ごろと推定、殺害日時の特定や凶器などの遺留品の捜索を続けている。

 一方、14日午前10時ごろ、近くのスーパーで買い物をする瀧田さんの目撃情報もある。瀧田さんを見かけたという女性(75)は「スーパーの行き帰りで一緒になった。足が悪く、杖代わりに手押し車を押していた。自宅近くまで一緒に歩いたが、普段と変わった様子はなかった」と言い、「警察にも情報提供した」と話した。

 周辺住民からは、「犯人が捕まらないと怖くて外出もできない」など不安の声も聞かれる。小俣町自治会(605世帯、約1100人)の柏原禎賢会長(80)は「殺人事件に住民の多くが動揺している。自治会としても防犯対策などを呼び掛けたいが、逆に住民に不安を与えたり、捜査の邪魔になりそうで、どうしたらよいのかわからない。一人暮らしの高齢者も多く、一日も早く犯人を捕まえてほしい」と話した。

 また、瀧田さんの親族の女性(70代)は、「事件後、警察からいろいろ事情を聞かれた。早く犯人が捕まらないと、自分が疑われているような気がして、外出もできない」と疲れた表情で語る一方、「瀧田さんは本当に温厚で、親族にも恨みを持つような人間はいない。なぜ、こんなことになったのか」と声を詰まらせた。

 別の男性(80代)も、「事件後は、できるだけ外出を控えている。普段はあまり自宅の鍵をかけることもなかったが、今は鍵をかけるようにしている。犯人が捕まらないことには、心配でゆっくり寝ることもできない」と話した。

 県警によると、瀧田さん宅に荒らされた形跡はなかった。凶器は鋭利な刃物のようなものとみられているが、見つかっていない。