夏の味覚、今年も不漁か

夏の味覚、今年も不漁か

奄美大島でのシラヒゲウニ漁は、3年連続の不漁が予測されている。1日、ウニ漁やウニ割りする漁業者の姿は見られなかった龍郷町の安木屋場海岸

「ウニ漁自粛」の動き、「禁漁」指摘も
シラヒゲウニ漁解禁・奄美大島

 奄美群島で1日、夏の味覚であるシラヒゲウニ漁が一斉に解禁(8月30日まで)された。しかし、群島内の漁協、漁業者などの話によると、今年もシラヒゲウニを見かけたという情報はほとんどなく、漁獲は期待できないと予測する声が多く聞かれた。夏の味覚を味わうことは今年も難しく、奄美大島では2017年から3シーズン連続で不漁となりそうだ。長期間にわたってウニ資源が激減している状況を受けて、漁協では「独自にウニ漁自粛」を呼び掛ける動きが出てきたほか、漁業者からは「資源回復するまでの禁漁検討を」と指摘する声も聞かれた。

 1日、龍郷町の安木屋場海岸など荒波地区を巡ったが、ウニ漁、ウニ割りをしている漁業者の姿は見られなかった。

 名瀬漁協のシラヒゲウニ水揚げ量実績によると、1合瓶詰めと2合瓶詰めを合わせて▽2004年725本▽05年281本▽06年492本▽07年1553本▽08年1877本▽09年1459本▽10年1157本▽11年669本▽12年782本▽13年1165本▽14年1203本▽15年1537本▽16年508本▽17年1本(1合瓶詰め)▽18年ゼロ―で推移。

 15年間の合計は、1万3409本、水揚げ金額約4930万円。

 解禁期間には変動があり、15年の解禁期間は7~9月の3カ月だったが、16年から7~8月の2カ月に短縮された。

 与論町漁協管内は「15年以上禁漁しているが、資源回復しない」、沖永良部島漁協管内は「ここ数年全く採れていない。6、7年競りはしていない」。

 今年5月、笠利地区でモズク養殖業の手伝いをした漁業者によると、「養殖場周辺で作業したが、ウニは1個も見なかった」、龍郷地区で素潜り漁をしている漁業者は「ウニの餌となるホンダワラ類がなく、ウニは1度も見ていない」と話した。

 別の素潜り漁業者は「まずは親ウニを残すことが最優先。そして資源回復を待つべき。一定期間の禁漁の検討を」と指摘した。

 シラヒゲウニは共同漁業権の対象。基本的には漁協組合員以外は採捕できない。生息数が多かった年には、住民要望に応える形で許可証代わりの帽子を販売し、採捕を許可した漁協もあった。

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 奄美群島水産振興協議会は昨年、激減しているシラヒゲウニ資源に関し、県に種苗生産を要望。これを受けて公益財団法人・かごしま豊かな海づくり協会(垂水市)が、18年度に種苗生産試験を開始し、5千個の種苗(稚ウニ)を生産。今年5月22日以降、5千個の稚ウニを群島内5漁業集落(まほろばやまと漁業集落=大和村=2千個、龍郷漁業集落1500個、えらぶ漁業集落500個、ちな漁業集落500個、与論島漁業集落500個)に配布。各漁業集落で中間育成して、殻長サイズを20㍉以上にして放流を計画。または、蓄養を検討している。

 昨年、同協会に送った親ウニは、龍郷町内で採捕し、奄美漁協龍郷支所の水槽で育てたもの。