違法採集対策を強化

違法採集対策を強化

休日などの希少種盗掘・盗採防止パトロール業務を開始し違法採集対策が強化された

今年度も休日などのパトロール開始
奄美大島中南部、森林組合に委託
環境省

 環境省奄美群島国立公園管理事務所は6日から、奄美大島中南部の世界自然遺産候補地で、今年度の希少種盗掘・盗採防止パトロール業務を開始した。違法採集(盗掘・盗採)が絶えないことから、昨年度に続いて民間委託で希少動植物を保護し、外来種などのモニタリングを実施する。同事務所は、実施期間を延ばし回数を増やすことで監視態勢を強化する考えだ。

 奄美大島では現在、島内5市町村がつくる奄美大島自然保護協議会が希少野生動植物保護パトロールを4人体制で実施。協議会パトロール員は奄美大島全域を対象に基本的に平日に活動している。

 同事務所は違法採集対策の強化として、休日などの希少種盗掘・盗採防止パトロール業務を国立公園等民間活用特定自然環境保全活動(グリーンワーカー)事業で昨年12月から今年3月まで民間委託。パトロール員は不審車両や人物などを警戒し、GPS装置で位置や時間帯などを記録。また一般車両や通行人に遭遇した場合は、奄美大島の希少動植物の捕獲・採集禁止を呼び掛ける啓発チラシを手渡す。

 委託先のあまみ森林組合は、車両1台にパトロール員2人体制で、国立公園の特別保護地区、第1種特別地域などのコアエリアを中心に昨年は約20回パトロール。昨年度業務では盗掘・盗採などの事態には遭遇しなかったが、コアエリアに台湾や中国が原産の外来種センダンキササゲの侵入を確認し同事務所に連絡し駆除したという。

 この日早朝、国立公園内の特別地域に同事務所職員1人と、あまみ森林組合から4人合わせて5人が集合。出発前にパトロール業務の内容やGPS装置の使用法など確認して、希少野生動植物保護パトロールが始められた。

 あまみ森林組合業務課の川畑敏彦課長(48)は、「希少野生動植物の盗掘・盗採防止につながるようパトロールして、世界自然遺産登録に向けて取り組んでいきたい」と話した。

 同事務所の千葉康人世界自然遺産調整専門官は「違法採集対策に、あまみ大島森林組合に協力してもらえて心強い。IUCN(国際自然保護連合)の指摘事項でもあり、しっかり対応していきたい」と強調した。