「監視の目」で持ち出し禁止

持ち出しが規制されている希少生物などを解説した

水際連携へ 奄美空港で研修会
航空各社など参加、体制づくり確認

 奄美の希少野生生物の密輸被害から守ろうと、奄美市笠利町の奄美空港で8日、持ち出し対策の研修会が開かれた。同空港に就航する航空3社、検査機関、ターミナルビル、警察など担当者約40人が参加。奄美・沖縄地域の世界自然遺産登録を控え、法令や条例規制種の違法な持ち出しを水際で食い止めるための連携と体制づくりを確認した。

 今年3月に設立した「奄美群島地域における希少な野生動植物の密猟・密輸対策連絡会議」の取り組みの一環。近年、規制対象種の取引が国内外で横行。奄美空港でも今年4月、アマミイシカワガエルなどを移送しようとした男性を「種の保存法」違反の疑いで逮捕したことを受け、関係者の保護機運を高めようと研修会を実施した。

 会では環境省奄美群島国立公園管理事務所の職員が密猟されやすい希少動物の写真説明や関連法令などを講話。奄美の自然と希少動植物の価値と保全を踏まえ、▽航空保安検査の協力▽通報体制の整備▽航空貨物会社との連携▽普及啓発―を提言。地域外への持ち出し事案摘発に向け、協力体制を呼び掛けた。

 千葉康人・世界自然遺産調整専門官は「後を絶たない密猟や密輸から、どのように希少種を守るかが課題」と述べ、その上で、あらためて関係機関が連携した水際対策を強調。「『空の玄関』での監視の目を行き届かせ、持ち出し抑止につなげることが重要」と訴えた。

 連絡会議関係者によると、啓発活動として機内アナウンスや空港ビル内の案内板、リーフレット配布などを検討。事業所内の情報共有を図る考えだ。

 研修会幹事を務めた日本航空奄美営業所の栄正行所長は「抑止機運の雰囲気づくりが大切。今後も研修機会を設けたい」と話した。