同一の繁殖牛(円内)が計4回双子を出産。「喜び2倍」にえびす顔の常さん夫妻=8日、伊仙町
【徳之島】「喜びも収益も2倍の授かりものです」―。伊仙町馬根の農業常秀男さん(73)の飼養する繁殖牛がこのほど、双子の子牛を無事出産。多胎分娩の確率自体が1%前後とされるなか、同一母牛による計4度目の双子出産だった。関係者を「4回とは聞いたことがない」「奇跡的だ」と驚嘆させつつ、常さん夫妻を喜ばせている。
常さんは繁殖牛6頭やサトウキビ約3・3㌶、ハーベスター収穫作業受託、バレイショ約1・2㌶など複合経営の専業農家。にわかに話題を集めることとなった飼養牛の登録名は「くりすてる」号(2008年10月5日生、10歳9カ月齢)だ。
公式な繁殖成績照会データでは、①10年11月=初産1頭②11年9月=初の双子③13年3月=1頭④14年6月=双子⑤15年8月=1頭⑥16年10月=1頭⑦18年2月=双子(うち1頭は死亡)⑧今年6月22日=双子。計8回出産のうちじつに4回が双子で、へい死の1頭を除くと計11頭を生産した。子牛セリ出荷済みの5頭はいずれも平均価格帯にあったという。
8年前の初の双子出産時は、「(自然分娩で)無事に産まれてくれて、人口哺(ほ)乳をと思った矢先、牛舎の暗がりで動くもう一つの黒い物体が。こんなにめでたい話はないと、好きなお酒で祝杯をあげたよ」と常さん。昨年からは2年連続で双子を授かり、「(今回も)低体温症になりかけたので(倉庫に隔離して)毛布や電熱器で体を温めました」と妻悦子さん(67)。
南大島農業共済組合の木村健一獣医(52)によると「一度双子を産んだ母牛は2度目も産みやすいが、3、4回とは聞いたことがない」。近所の多頭農家(約60頭)で元伊仙町肉用牛振興会会長の常隆之さん(60)も「同じ牛が4回とは非常に珍しく奇跡的。畜産を始めて37年余、双子の経験は一度もない」と目を細めていた。