村花ハイビスカス伐採へ

村花ハイビスカス伐採へ

伐採されることになった村道湯湾大棚線にあるハイビスカス並木(資料写真)

宇検村・湯湾岳の景観に配慮
IUCN指摘で環境省要請

 宇検村は貴重な動植物が生息・生育する湯湾岳頂上付近にあるハイビスカス並木の伐採を決定した。IUCN(国際自然保護連合)からの指摘で環境省の要請に応えた処置で、世界自然遺産登録に向けた英断と評価する関係者も。19日に役場職員や同省職員などと作業予定だったが、台風接近の影響で22日に延期となった。

 ハイビスカスは、アオイ科の常緑低木。インド洋方面の雑種植物とみられるが原産地は不明。ハワイの州花で南国ムードを演出することから、奄美では公園や民家の軒先などで多く見られる。

 同村では1986年11月1日に村花として指定され、赤土山の県道85号線沿いには並木があり「ハイビスカスロード」と呼ばれている。湯湾岳の駐車場に通じる村道湯湾大棚線には、約3㌔にわたって823本のハイビスカスが植栽されているという。

 昨年5月にIUCNが、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録について「登録延期」を勧告。それに関連して同省は、「奄美群島国立公園のコアゾーンとされる湯湾岳周辺に外来植物のハイビスカスが存在するのはどうなのか」とIUCNから指摘を受け、同村に伐採ができないかを相談していた。

 村側は相談を受けて景観に配慮し、村道湯湾大棚線のハイビスカス伐採を決定。元山公知村長は、「村花にも選ばれ、村民歌の歌詞にも登場するハイビスカスの伐採は、世界自然遺産登録に向けたやむを得ない対応」と説明する。

 奄美自然環境研究会の常田守会長は、在来種に配慮した英断と評価する。「国立公園に指定される以前から、懸念していた件が解消される。今後も積極的に自然保護に取り組んでもらいたい。自然を保護し上手に利用することで、観光面などの活用が期待できる」などと話した。

 現地は国立公園の第1種と第2種の特別地域内に含まれており、伐採などの行為に規制がかかっている。同省は伐採行為を許可し、22日の作業にも職員が参加して協力するという。