尾辻氏が大差で6選

6選を決め、支援者と万歳三唱し喜ぶ尾辻氏(中央)=21日午後8時過ぎ、鹿児島市大黒町の事務所

参院鹿児島選挙区 投票率45・75%で過去最低
強固な組織力で議席守る

 第25回参院選は21日、一部の繰り上げ地域を除き全国で投票、即日開票された。3人が立候補した鹿児島選挙区(改選数1)は、自民現職の尾辻秀久氏(78)が、野党統一候補で無所属新人の合原千尋氏(39)、元霧島市長で無所属新人の前田終止氏(71)に大差をつけ、比例代表を含め6度目の当選を果たした。自民党は、改選数が1となった2001年以降、同選挙区で7連勝を飾り議席を堅守、保守王国の健在ぶりをみせつけた。投票率は45・75%で、前回(55・86%)を10・11ポイント下回り、過去最低を記録した。

 参院選には全国で、選挙区215人、比例代表155人の計370人が立候補。年金など社会保障制度の在り方や消費増税、安倍首相の経済政策「アベノミクス」や地方創生、憲法改正の是非などを争点に、選挙区74(定数1増)、比例50(同2増)の議席を争った。

 三つどもえの戦いとなった鹿児島選挙区は、自民現職の尾辻氏に、野党4党(立憲民主、国民民主、共産、社民)が推す合原氏、元自民県議でもある前田氏が挑む展開となり、無党派層の票の取り込みや強固といわれる保守層の票の行方が注目された。

 尾辻氏は、政権与党での実績と元厚労相の知名度を生かし、終始優位に選挙戦を展開。国民皆保険制度の堅持など社会保障制度づくりを政策に掲げ、離島医療の充実なども訴えた。消費増税については、「増税により、子育て、医療福祉など社会保障の充実強化につながる」などと訴え、野党の増税批判をかわした。連立を組む公明党との選挙協力や友好団体を中心とした組織力を生かし、保守層を固くまとめたほか、無党派層への支持浸透でも他候補に差をつけた。候補者の中で唯一、奄美大島のほか、喜界島、徳之島を遊説するなど、広い県内を精力的に回るなど、地方の組織力も生かし、県内全域で幅広く支持を集めた。

 合原氏は野党統一候補として、安倍政権の経済政策や年金問題などを追及、所得や生活環境の格差是正などを訴えた。また、唯一の女性候補として、女性への支持浸透を狙った。しかし、野党による候補者一本化が、全国の改選1人区で最後となるなど、出遅れが最後まで影響、無党派層への支持も思うように広げることができなかった。

 前田氏は、4期連続で務めた自民県議としての実績や牧園町長(1期)、霧島市長(3期)として地方行政に携わった経験などを前面に出し、農林水産業の振興や観光の魅力発信などによる地方の振興を訴えた。無所属ながら自民党との深いかかわりも強調、保守層の取り込みを狙ったが、自民現職の厚い壁に阻まれ、支持を広げることができなかった。

 同選挙区の当日有権者数は137万1428人(男63万8023人、女73万3405人)だった。