公共交通空白地帯を解消

公共交通空白地帯を解消

天城町当部、三京両集落―平土野間で運行開始したデマンド型交通「ゆい結いバス」の出発式=1日

天城町当部・三京集落 デマンド型「ユイ結いバス」出発式

 【徳之島】天城町と徳之島総合陸運㈱の提携による同町南部地域デマンド型交通「ユイ結いバス」の出発式が1日午前、同町当部(とうべ)集落であった。定期バス路線ルート外の公共交通空白地域だった内陸部山間の過疎・高齢地域の当部と三京両集落。交通・買い物弱者たちに事前予約制のデマンドバス導入で手を差しのべた。

 徳之島地区では、過疎化による路線バス利用率の激減などを背景に2012年10月(09年度から実証運行)から同島北部(天城、徳之島両町)にデマンドバスを初導入。公共交通維持のための対処だったが、今回の天城町南部同「ユイ結いバス」は、かつて〝陸の孤島〟とも称された公共交通空白地帯の当部(33世帯・53人)と三京(43世帯・81人)両集落の願いに町単独事業で対処することになったもの。

 町企画課によると、特に当部集落は高齢化率(65歳以上)が72・2%。交通事故を懸念して運転免許証返納の増加も予想される中、集落内には買い物ができる商店が1軒もない。

 「ユイ結いバス」(大型ワゴン車、乗客定員9人)は、電話による事前予約制(始発便は前日予約)で平日のみ運行。通常の運行ルートは、▽当部始発(茶処あがりまた前)―三京分校前―兼久・大津川・瀬滝―平土野▽平土野始発はその逆。少ない予約者には「直行」でも対応する。

 当部の「茶処あがりまた」前であった出発式で、徳之島地域公共交通活性化再生協議会長でもある森田弘光町長は「日本に高齢化の津波が押し寄せる中、高齢者が自由に医療機関や買い物などに行けるデマンドバスの運行は大変うれしい。均衡のとれた、住んで良かった町づくりを進めたい」。

 徳之島総合陸運の前田清仁代表取締役も「長年、公共交通の空白地になっていたが、買い物や病院に利用。自然豊かなこの地域への島内外からの利用も期待。安全第一をモットーに運行します」とアピール。利用者第1号(上田和弘さんと里山永子さん)も交えてテープカットを行い出発した。

 運賃は1回乗車につき1人200円(小学生・身障者手帳所持者は100円、町敬老バス無料乗車証提示者は無料)となっている。予約は総合陸運「あいのりバス予約センター」(徳之島町亀津)電話0997―82―1311へ。