産業ロボの業界語る

産業ロボの業界語る

「ロボット革命」と題し講演を行う田窪さん

AIが底上げし、急速に発展
大阪市立大学教授 田窪さん 成長・多様化する業界解説

 奄美市名瀬公民館指定管理者のNPO法人アマミーナ(徳雅美理事長)はこのほど、県奄美パーク田中一村記念美術館で開催中の松本零士&牧美也子の世界展のクロージング記念講演「ロボット革命―身近になったロボット技術」を奄美市名瀬のAiAiひろばで開いた。講師は、ヒューマノイドロボット開発などに携わる大阪市立大学教授の田窪朋仁さん。田窪さんは工場などで稼働する産業用ロボットを基本に、「AI(人工知能)が底上げとなり、急速に発展している」などと述べ、成長・多様化する業界を解説した。

 事業は、2019年度奄美市紡ぐきょらの郷づくり事業「アートとテクノロジーと自然の融合と共存」の一環。約20人が参加し、産業用ロボットの歴史や変遷、業界の将来像などについて耳を傾けた。

 田窪さんは2000年ごろまでの産業用ロボットについて「数字ばかり計算する、つまらない学問だった」と述べ、産業用ロボットの歴史や技術の変遷を紹介。近年実用化されたヒューマノイドロボット・ペッパーやドローンなど、最新動向も解説した。

 現状について田窪さんは、「(洗濯物をたたむなど)柔軟物体はまだまだ人間でないと扱えない、基礎研究の段階」と、ラストワンマイル(最後の1マイル)と呼ばれる攻防が続くことを説明。時には「開発が活発なのはよいが、イメージ先行型でスタートアップの倒産例など失敗も多く、投資面はどんどん厳しくなっている」と嘆き節で会場を沸かせた。

 今後の戦略については、日本が先行して迎える人口減少や高齢化を前提に「日本がまず(実用化し)世界に示すことで、ロボット大国を目指せる」と強調。自身の研究開発については「日本の低い労働性をサポートできるよう、頑張りたい」など抱負を語った。