クルーズ船寄港地検討協

鎌田町長(左)に提言書を渡した宮廻委員長(右)

提言承認、提出受け鎌田町長 加計呂麻への入島回避盛り込む
「盆明けごろには結論」

 瀬戸内町が設置した「クルーズ船寄港地に関する検討協議会」(委員長・宮廻甫允鹿児島大学名誉教授)の第5回が10日夜、同町役場委員会室であった。事務局(同町企画課)が示した提言書案を、一部文言を変更し承認。観光管理計画の策定や、加計呂麻島へのクルーズ旅客入島回避などを盛り込んだ提言書を鎌田愛人町長に提出した。鎌田町長は「内容を精査し総合的に、町政運営をする中で適切な判断を下したい。盆明けごろには西古見地区への大型クルーズ船寄港地誘致を進めるのか、進めないのか結論を出したい」とした。

 協議会は昨年10月、町が推進する西古見地区へのクルーズ船寄港地誘致について、同町に適した寄港地について議論する場として設置されたもの。これまで4回実施。今年3月にあった第4回では、委員全員が意見を発表する機会が設けられるなどした。

 今回は事務局が6日までに委員に送付していた、同町に最適なクルーズ船寄港地のあり方について示す提言書案を審議。同案には、①自然環境・景観の保全・産業振興に向け専門家の意見を踏まえた適切な対策の検討②キャリングキャパシティ(環境容量)評価を含む観光管理計画策定・治安維持を含めた適正な旅客の観光管理の検討③奄美のブランド向上のための諸施策の検討・世界自然遺産推薦地への観光についての管理徹底の検討④原則、加計呂麻島へのクルーズ船旅客入島を回避すること⑤企画段階からの地元自治体・企業が参画できる仕組みの構築⑥町民への計画周知、多様な意見を聴取する透明性のある組織づくりの検討⑦協議会での委員の意見・要望について解決のための必要な措置を講じること―の7項目が盛り込まれた。

 同案作成のプロセスについては異議がなかったが、内容について議論。計画への賛否についての意見も出たものの、同案内容については一部文言の追加のみにとどまり、全会一致で承認された。

 宮廻委員長は「今後、クルーズ船について検討していく際に必要なことを取りまとめる形になった。意見を一本化できず、十分な提案ができたとは言えない。多くの意見を尊重した結果、こうした形でしかできなかった」と話した。