朝山市長らがテープカットをして奄美博物館のリニューアルオープンを祝った
環境文化に焦点を当て、奄美の人たちの暮らしぶりを、自然の移ろいとともに紹介している3階展示室
奄美市名瀬の市立奄美博物館が24日、リニューアルオープンし、記念式典などが行われた。朝山毅市長ら関係者と一般市民ら約150人が出席、「環境文化」に焦点をあて刷新された展示内容などが一般公開された。
同館は奄美群島唯一の総合博物館として、1987年7月に開館。奄美の自然・歴史・文化を理解するための調査研究、収集保存、展示公開、教育普及の活動を継続する拠点施設として多くの住民や研修者などに利用されてきたが、開館から30年以上経過したことなどから、展示内容を大幅にリニューアルすることになり、総事業費1億円をかけ、今年5月から改修工事が行われていた。
新たな展示では、奄美群島国立公園の「環境文化型」を大きなテーマに位置付け、奄美の自然が地域の生活や文化と密接にかかわっていることなど紹介。同館所蔵の市指定文化財「南島雑話」の絵図をそれぞれの展示室で取り上げて、環境文化の概念を分かりやすく表現している。
全3階の同博物館を各階ごとに物語性を持たせた。1階は「海」をイメージ、奄美の方言「シマグチ」やシマ唄を聴けるコーナーなどを設置している。
「里」をイメージした2階は、歴史をテーマに薩摩藩士名越佐源太が記した「南島雑話」を初めて常設展示し、幕末期の奄美の生活風景などを紹介。日本復帰運動関連の展示物も充実させた。
3階は「山」をイメージ。希少生物などを配置した既存ジオラマを中心に、奄美の人たちの暮らしぶりを、自然の移ろいとともに紹介。豊かな自然環境によって育まれた奄美の伝統行事などを月ごとにまとめて展示している。各階とも体験型展示装置やタッチパネルモニターなどを設置、実際に聞いたり、触ったりできるように工夫されている。
式典では朝山市長が「先人が守り育んできた奄美独自の歴史文化を多くの人に見てもらいたい。世界自然遺産登録を控え、歴史、自然、文化を取り入れた博物館として、国内外に情報発信していきたい」などとあいさつ。同博物館の高梨修館長も「奄美独自の歴史や自然、文化を丁寧に紹介できる展示内容になっている。観光客や地域の人たちが来館し、奄美大島の素晴らしさに触れてもらいたい」と抱負を語った。
5年ぶりに来館した同市笠利町の村田要子さん(75)は「映像や音声などの説明がとても分かりやすく感じた。コンパクトに奄美の自然文化なども紹介されていて、観光客にも楽しんでもらえると思う」と話した。
同館はリニューアルオープンを記念し、9月1日まで無料開放される。