駐屯地開設後初の奄美市防災訓練

駐屯地開設後初の奄美市防災訓練

航空自衛隊のヘリによる漂流者の吊り上げ救助訓練
奄美ドクターヘリのフライトドクターに傷病者を引き継いだ陸自奄美駐屯地の隊員ら

連携確認 陸自奄美警備隊も参加
1500人以上参加の高台避難も

「防災の日」(9月1日)を前にした25日、奄美市の2019年度防災訓練が市内各地であった。訓練は大規模地震による津波を想定したもの。今回は陸上自衛隊奄美駐屯地(同市名瀬大熊町)開設後初の訓練となり、陸自奄美警備隊も参加。計13機関が漂流者救助などで連携を確認。また住民らによる高台避難には33地区1500人以上が参加し、防災意識向上に努めた。

同市は2010年の奄美豪雨、11年の東日本大震災を教訓に、関係機関と連携した合同防災訓練を毎年実施。今年度の訓練は、午前9時に奄美大島近海(太平洋側)を震源とするマグニチュード8・2の地震が発生。同島沿岸に大津波警報が発表され、地震発生10~20分後に最大6・1㍍の津波が到達する想定で行われた。

午前中にあった住民避難訓練では、Jアラート、コミュニティFMなどによる高台への避難を実践。避難所の開設や、炊き出しの訓練もあった。また市は災害対策本部を立ち上げ、職員の安否確認、所管施設の被害報告などを行った。

午後からは名瀬港観光船バースで実動機関が合同訓練。▽海保巡視船による自衛隊機材運搬▽大島地区消防組合笠利消防分署水上バイク・航空自衛隊ヘリによる漂流者救助―などを実施。奄美駐屯地の隊員らは巡視船で運ばれたオフロードバイクにまたがり走行を披露。孤立集落の被害調査などに活用できることをアピールした。

奄美ドクターヘリも参加し、港内のランデブーポイント(場外着陸場)で待機する救急車からの搬送患者を収容。県立大島病院の医師・看護師からなるDMAT(災害派遣医療チーム)らによる傷病者のトリアージなどもあった。

合同訓練に臨席した東美佐夫副市長は「駐屯地開設による資機材の充実を実感できた。市民に災害時どうすれば良いのかを考えてもらえれば」。同駐屯地・平田浩二駐屯司令は「災害時に我々がどういった対応ができるかを知ってもらうきっかけとなった。今後も即応体制を市・海保・警察との連携を密にし、迅速な対応に努めたい」と語った。