20年度奄振概算要求

交付金17%増の28億4800万円
ICT活用 スマートアイランド実証事業支援

 国土交通省は28日、2020年度奄美群島振興開発関係予算(同省一括計上分)の概算要求を発表した。公共、非公共を合わせた概算要求総額は19年度当初予算比9・2%増の232億7700万円。公共事業は同8・2%増の204億700万円、非公共事業は奄美群島振興交付金が17%増の28億4800万円となり、奄美群島振興開発調査費と合わせ28億7千万円を計上した。非公共事業では特定重点配分対象事業に新たにスマートアイランド実証事業への支援などを盛り込んだ。

 同省の20年度予算概算要求で奄振関係は公共事業のうち大きく増額した費目は空港17億8100万円(対前年度比68%増)で、航空機の安全運航確保のため国及び県が奄美空港と徳之島空港で16年度に国内基準が見直されたRESA(滑走路端安全区域)を整備し、喜界空港で滑走路を改良する。

 治山(同13%増)では、喜界町や与論町の集落・農地で風害・潮害等の被害防止に県が防潮工、植栽工等を実施するため6200万円を計上。喜界町のごみ焼却施設更新が19年度に完了することから、廃棄物処理施設は減額となり1億6900万円を計上している。

 農林水産基盤整備は対前年度比2%増の71億5千万円で、農業農村整備は19年度当初予算額と同等の48億9300万円を計上。農山漁村地域整備(交付金)は同10・7%増の16億300万円で、奄美市や喜界町などで県が農地整備を実施する。

 社会資本総合整備(交付金)は同12%増の96億5400万円を計上。防災・安全交付金は同14・2%増の35億7600万円が盛り込まれ、道路や港湾等の防災や補修が実施される。
 非公共事業の奄美群島振興交付金は同16・5%増の28億4800万円で、奄美群島の自立的発展、住民の生活安定および福祉向上、定住促進を図るため、奄美群島の特性に応じた産業の振興や生活の利便性向上に資する事業を支援する。

 支援メニューの特定重点配分対象事業の中に、ICT(情報通信技術)を活用し離島の抱える課題解決を図るスマートアイランドの先進的取り組み実証事業を支援。実証事業は▽島内でのエネルギー自給自足に、小型風力発電など自然エネルギーの活用▽本土と離島間のドローンによる物資輸送―などに対する支援を想定している。

 19年度に拡充された支援メニューの物資(加工品、原材料等含む)の輸送費支援や、準住民に対象を拡大した航路・航空路運賃軽減なども継続。また特定重点配分対象事業の民間と連携する新しい取り組みに対する交付率を10分の5から10分の6にかさ上げし、地方負担分を交付税措置とする支援も引き続き実施される。