主役は徳之島の自然・人

主役は徳之島の自然・人

徳之島の自然・人を主役に、武蔵野大学メディア制作・表現ゼミ生ら制作の短編映画上映会=29日夜、徳之島町井之川公民館

現地撮影当時の学生たち(武蔵野大ホームページより)

5作品上映会 個の記憶を表現
武蔵野大メディア制作表現ゼミ

【徳之島】武蔵野大学(本部・東京都)は、徳之島町と連携して長期フィールド・スタディーズ(学外学修)「徳之島プロジェクト」を進めて5年目。同大のメディア制作・表現ゼミナールの学生たちが昨年夏、同町井之川地区を主舞台に撮影実習し編集・制作に取り組んだ短編映画計5作品の上映会が29日夜、井之川公民館であった。地元の出演者や一般住民など約80人が、「個の記憶」に向き合ってシリアスに自分を見つめ表現した作品を鑑賞した。

同プロジェクトは産学連携教育による人材育成、連携ゼミの長期インターン教育課程など一環で2015年度に双方で覚書を交わした。農業や観光分野など職業体験に加え、学部横断型のメディア制作・表現ゼミ生は一昨年から参加。映画制作の基本テーマは学生(脚本・監督)たちの「個の記憶、土地の記憶」。今回の5作品は、ゼミ生15人が昨年8月上旬から約2週間、井之川で共同生活しながら、地元の小中高生を含む住民らを役者に起用して撮影していた。

その後大学に戻って1年以上掛けて編集・制作。同ゼミの土屋忍教授(文学部)と映画監督の小谷忠典客員教授もアドバイス。昨夏の前期生らに続き、「ありがとう」の感謝を込め主舞台の地での上映会に。

5作品と監督名は▽「自分車旅」(グローバル学部4年・菅生久瑠実さん)▽「うしろむきのトシ」(文学部3年・児玉英俊さん)▽「メイルシュトローム」(法学部3年・藤田実優さん)▽「夢幻泡影」(同部3年・郷古聖也さん)▽「おじいちゃんの扇子」(グローバル学部4年・杉本由夏さん)。

徳之島の豊かな大自然や文化、そして人々を主役に、「私・個」の記憶を客観視した映画に挑戦。思い通りにいかない日々との葛藤、親戚や友人との突然の死別、SNSへの悪口にまで発展した親友との仲の行方―などを述懐。高岡秀規町長も、心模様を真摯=し=に表現した各作品を高く評価した。

監督の1人・杉本さんは「徳之島でいろんな人々と出会い、とても強い人間になれたと思う。来年は(卒業して)社会に出るが経験を生かしたい」。ゼミの土屋教授は「学生たちはこの土地の皆さんとの出会いでパワーをもらった。この舞台をお借りすることで主体性を獲得し、強くもなれた」と地元にお礼を述べた。