選果場の赤字対策でJA共販体制の強化などを協議したJAあまみ果樹部会総会
JAあまみ大島事業本部果樹部会(大海昌平部会長)の全体総会が31日、奄美市名瀬朝戸の市農業研究センター会議室であり、タンカンの生産状況やJA共販量の現状などについて報告があった。共販量の減少により、選果場が赤字運営となっている問題が指摘され、同部会として各農家にJAへの出荷量の割り当てを行うなど年間100~150㌧を目安に共販量の確保に取り組むことを決めた。
総会には、部会員約400人のうち、かんきつ農家や行政関係者など約100人が出席した。
タンカンのJA共販量は、年次ごとの収穫量増減によって変動があるものの、減少傾向にあり、今年2~3月の2018年度産共販量は約77㌧(前年度比約16㌧減)。JA側が選果場の黒字運営や市場への安定供給に必要な共販量として約150㌧の出荷を求めたのに対し、生産農家からは、過去3年間の共販実績などから約100㌧の出荷を推す意見が出た。
今後、10月ごろをめどにJAが各農家の生産見込み量などを調査、同部会として100~150㌧の共販目標を定め、各農家の実績などを参考に、共販量を割り当てることにした。大海部会長は「個別販売とJA共販のどちらも維持できる体制づくりをしたい。農家の意向も反映しながら、共販への協力を呼び掛けていく」とした。
タンカンの新品種として期待される「平井Red(ヒライレッド)」の普及状況については、今年から苗木の試験栽培を実施する計画だったが、苗木の栽培を行っていた福岡、和歌山両県の委託先が、昨年の台風被害で生産ができなったことを報告。今年度から5年間で1万本栽培する計画を、1年遅らせ、20年度からの5か年計画とした。来年度は300本の苗木を島内6カ所で50本ずつ栽培、本格栽培となる21年度は、苗木2900本の供給を目指す。
例年、名瀬中央青果に粗悪なタンカンが大量に出荷される問題についても協議、出席者からは「粗悪品が市場に出回れば、産地としてのブランド力が損なわれ、結果的に農家全体の首を絞めることになる」など規制が必要との意見が相次いだが、現状では、市場側で受け入れを拒否するなどの規制が難しいのが実情。同部会では、名瀬中央青果や仲買関係者らと連携しながら、今後も根気強く粗悪品の根絶を目指していく方針を確認した。
このほか、糖度11度以上としている秀品の品質について、糖度レベルを上げることも検討したが、反対意見などもあり、今後の検討課題とした。