3カ月越しの容疑者逮捕で安堵の声

事件現場となった瀧田さんの自宅は、3カ月たった今もなおブルーシートがかけられている(11日午前11時ごろ)

小俣町殺人事件 今後の対応への懸念も
遺族「罪を償い反省してほしい」

 今年6月、奄美市名瀬小俣町で同町無職・瀧田得枝さん(当時87)が鋭利な刃物のようなもので刺され、殺害された事件で11日、県警捜査1課・奄美署からなる捜査本部は同町無職・渡部円治容疑者(21)を奄美署で逮捕した。約3カ月にわたり犯人不明の状態が続いたこともあり、親族や地域住民など関係者らからは安堵の声などが聞かれた。

 容疑者逮捕を受け、瀧田さんの妹(80)は「犯人が逮捕されないまま迷宮入りするのではと心配していたが、(容疑者逮捕で)ほっとしたというのが正直な気持ち。これで姉もようやく浮かばれ、成仏できるのではないか。姉の悔しさを思うと犯人に対する気持ちは憎しみしかないが、(容疑者は)まだ若いのだから犯した罪を大いに償い反省してほしい」と話した。

 同町町内会の柏原禎賢会長(80)は逮捕の一報を聞き、「ほっとした」とした上で、「町内会の役員会でも『どうして犯人が早く捕まらないか』という話ばかりだった。毎年7月に行う祭りも9月14日に延期せざるを得なくなった」と地域行事にも影響を与えたことを話す。渡部容疑者は町内会にも入会していなかったといい、「小俣は山裾に空き家が多い。今後入居する人に注意し、名前や顔を把握する必要がある」と今後の対応への懸念を語った。

 瀧田さんとも親交が深かった同町の老人会「小俣松葉会」の柿園徹会長は、「やっと息が抜けた。静かな町にまさかの事件だった。(容疑者には)正直に包み隠さず話してほしい」。このほか、「この3カ月生きた心地がしなかった。ほっとした思いもあるが、いまだに戸をたたかれるとどきっとする」(現場近隣在住・60歳代女性)など事件後の不安を残す声もあった。

 現場からほど近い奄美小学校では事件後、登下校中の子ども達の見守り活動の強化が実施された。同校PTAの渡嘉敷誠会長は「事件から時間がたったが、子ども達も心のどこかで解決していないことへのひっかかりを感じていたはず。解決して良かったが、今後も子どもたちが犯罪に巻き込まれないよう、地域ぐるみで見守る体制を強化していきたい」とした。