9月定例県議会は13日から代表質問が始まり、同日は自民党の大久保博文議員=鹿屋市・垂水市区=、禧久伸一郎議員=大島郡区=が登壇。禧久議員が取り上げた奄美の世界自然遺産登録では、来月上旬に二度目となるIUCN(国際自然保護連合)の現地調査が実施されるが、今回調査では前回の現地調査結果や昨年のIUCN勧告内容を踏まえ、どのような取り組みが行われたか確認されるとの見通しが示された。
今年2月の推薦書再提出以降の世界自然遺産登録に向けた取り組み状況は三反園訓知事が説明。この中では▽遺産としての価値を生物多様性に絞るとともに、推薦地において分断された小規模区域解消など見直し▽観光管理で利用のルールづくりとして金作原(奄美大島)や林道「山クビリ線」(徳之島)において原則認定ガイド同行などルールの運用▽侵略的外来種対策で今年3月に制定した条例に基づきアメリカハマグルマなど13種類の外来動植物を奄美群島で規制対象とする案まとめ▽希少種保護対策で警察や地元団体等と連携を図りながらパトロールや盗採防止キャンペーンを実施したほか、希少種の違法採取や持ち出し防止を図るため関係機関団体で構成する密猟密輸対策連絡会議発足―などを挙げた。
IUCN現地調査の実施予定・想定される調査ポイントは藤本徳昭環境林務部長が答弁。「世界遺産委員会の諮問機関であるIUCNによる奄美大島、徳之島など4島の現地調査は10月5~12日まで実施される予定で、行程については今後、国から示される」と述べるとともに、この現地調査はIUCNが世界遺産委員会に勧告を行うにあたり①世界自然遺産としての価値②推薦範囲の適切性③保全管理の状況④地域住民の理解と協力―など重要なポイントを現地で実際に確認することを目的としているとした。
海外飛来性害虫のガ「ツマジロクサヨトウ」への対応も取り上げられた。発生状況とこれまでの取り組みについて満薗秀彦農政部長は答弁で「今年7月3日に国内初の発生が県内で確認されて以降、9月11日現在県内25市町で飼料用トウモロコシ、緑肥用ソルガムおよびスイートコーンで発生が確認されている。植物防疫法に基づき、農薬散布や引き込み等の初動防除に取り組むとともに、県内各地での説明会等を通じ農業者、関係機関へ防除の徹底を要請している」と報告。まん延防止には早期発見・早期防除が重要なことから、「ほ場での観察を徹底し、発生が確認された場合は早期防除を市町村等と連携を図りながら行っていきたい」と述べた。また、ツマジロクサヨトウの防除では登録農薬がないことから、早期の登録を国に要請していく方針。
外国人材受入の取り組みは、県内の外国人労働者数が最多のベトナムとの関係強化を三反園知事が説明。「官民一体となった総勢100人を超える『オール鹿児島』による訪問団を結成し、来月16~20日の日程で国際チャーター便を利用してベトナムを訪問する」と述べた。この訪問により、鹿児島県とハイズオン省(ハノイ市近郊)との間で、外国人材の安定確保や農業分野での技術協力等を内容とする連携協定を締結。あわせて航空会社に対し、定期便就航の要請を行うなどのトップセールスを計画している。
17日にも代表質問がある。