勉強会で野鳥の魅力などが講師から語られた
鹿児島大学国際島嶼教育研究センター(島嶼研)は17日夜、奄美市名瀬の同センター奄美分室で第27回勉強会「奄美分室で語りましょう」を開いた。講師から奄美の野鳥に関する魅力などが語られ、参加者は質問をはさみつつ熱心にメモを取りながら聞き入っていた。
勉強会は大学の研究成果や、最新の知見などを地域に還元する目的。気軽に参加できるように軽食や飲み物を自由に持ち込みできるスタイルで実施された。
今年度3回目となる勉強会の講師を、2017年度同センター客員研究員で奄美野鳥の会の鳥飼久裕会長が担当。「リュウキュウキビタキは留鳥か?―奄美を訪れる渡り鳥―」の題で、スライド資料や動画を用いて奄美で見られる野鳥を紹介し最近の野鳥に関する話題などを報告した。
鳥飼さんはバンディング(鳥類標識調査)の資格を有していて、各地で野鳥を捕獲し足環をつけて放鳥することで渡り鳥の経路などを調査している。島嶼研の客員研究員としては、大隅半島で春と秋にバンディングを実施したという。
鳥飼さんは「奄美で見られる鳥類は約360種で、これは日本産鳥類の約6割に相当する」と指摘。内訳は留鳥(1年中奄美で過ごす)が約40種、夏鳥が約10種、冬鳥・旅鳥が約130種、迷鳥は約180種。「ヒヨドリやメジロなど留鳥の多くは固有亜種。ルリカケスは日本のカケスより、ヒマラヤに生息するインドカケスに近縁な遺存固有種」と説明した。
アマミヤマシギやオオトラツグミなど、保護増殖事業の対象となっている希少種なども紹介。「マングース対策は進んでいるが、ノネコなどの外来種の脅威が残っている。動きの鈍いアマミヤマシギは交通事故で死亡する個体もいる」と語った。
鳥飼さんはリュウキュウキビタキについて「琉球列島の留鳥で、種内変異が大きくキビタキと別種になる可能性がある。生息数が少なく種に昇格したら、すぐに希少種になるかもしれない」「留鳥となっているが、奄美のリュウキュウキビタキの一部は冬季に沖縄に渡っているのでないか」などと話した。
参加者からは、「遺存固有種とは?」、「今の時期に見た方が良い野鳥は?」などの質問があった。