講演を行った「認知症の人と家族の会」顧問の髙見国生さん
2019年度「認知症を理解し一緒に歩む県民週間講演会」(県主催)が20日、奄美市名瀬の奄美文化センターで開かれた。講演や寸劇、パネルディスカッションを通して、認知症に関する理解を深め、地域で支えることの大切さなど普及啓発が図られた。また会場内ではパネル展示等のコーナーも設けられ、足を止め見学する来場者もみられた。
同週間は21日の「世界アルツハイマーデー」を含む一週間を、認知症に関する正しい理解の普及啓発や認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けた機運醸成を図るために設定。18年度に県民週間を新設した鹿児島県は、市町村などとともに認知症の普及啓発に関する取り組みを各地で実施している。
講師を公益社団法人「認知症の人と家族の会」顧問の髙見国生さんが担当。髙見さんが20~30代にかけて、認知症だった母親の介護体験などを交えて講演し、認知症の正しい理解を求めた。
髙見さんは「認知症は脳の病気で、忘れることが最大の特徴」と指摘。「6年後には国民の65歳以上の5人に1人が、認知症になると言われている」ことなどを紹介した。
認知症には、徘徊=はいかい=や失禁、人物誤認、妄想、なんでも食べるなどさまざまな症状があるとした。「認知症と診断されたら、ぼけを恥じて隠さず、一人で頑張らないで、積極的に支援制度を利用してほしい」と呼び掛けた。
髙見さんは将来を不安視する人に、「家族の会」鹿児島県支部や、奄美市に「まーじんま」の会があることを紹介。「認知症に対して正しい理解をして、周囲とつながって協力して支え合うことが大切」「介護することは、その人の人生を豊かにし、人間性を向上させる」などと締めくくった。
休憩をはさみ父親が認知症になった家族の島口を交えた寸劇も披露され、地域包括支援センターの職員役から市役所に相談したり「まーじんま」の会に参加したりする提言があった。