県議会一般質問

県議会一般質問

県無形文化財としての指定が期待される大島紬(泥染め作業)

大島紬に県文化財価値
国道58号城地区道路整備 字図混乱解消、地籍調査必要

 9月定例県議会は25日、引き続き一般質問(最終)があり、米丸麻希子議員=自民党、姶良市区=、鶴丸明人議員=自民党、霧島市・姶良郡区=、永井章義議員=自民党、奄美市区=、西高悟議員=自民党、志布志市・曽於郡区=が登壇。伝統的工芸品振興で永井議員が県無形文化財指定の可能性をただしたところ、大島紬については県文化財保護審議会委員の調査により文化財としての価値が認められたことが報告された。

 東條広光教育長が答弁。県教委では現在、大島紬、薩摩焼、川辺仏壇の県指定文化財に向けた取り組みを進めているが、このうち大島紬については「昨年度、奄美市等において文化財保護審議会委員による調査が行われ、文化財としての価値を有することが認められた」と述べた。文化財課によると、調査は昨年10月と11月に実施。調査を受けて一連の製造過程の学術的な整理が行われており、今後は保持団体の認定など条件整備に取り組み、これを経て県文化財保護審議会で最終的に判断される見通し。

 大島紬の県文化財指定によりブランド価値のさらなる高まりが期待されるが、三反園訓知事は「指定されることになれば、糸繰り、泥染めなどの大島紬の一連の生産技術の貴重性や歴史的価値が証明されることになることから、指定後には、県文化財指定のブランドを生かしてPRを行うことにより販路開拓、販売促進につなげたい」と意欲を示した。

 国道58号和瀬バイパスに関連する城=ぐすく=地区(奄美市住用町)道路整備が取り上げられた。永井議員は「集落内を通るが幅員も狭く、観光客の増加でレンタカーなどの通行が増えている中、大変危険。世界自然遺産登録が実現するとさらに通行量が増加するとみられる」として改善に向けた取り組みを質問。兒島優一土木部長は「地元の意向も踏まえて集落背後地にバイパスを通す計画だったが、公図と現地が一致しない字図混乱地区のため用地取得の見通しが立たず事業を断念した経緯がある」と説明。県では現在の占有者を所有者として取得する方法も検討したものの、耕作放棄地等により「土地の境界や占有状況が不明確などから占有の特定が極めて困難。また、すべての占有者が特定されたとしても字図混乱地区の本県への所有権移転登記ができない広大な土地が発生する状況にある」と述べたうえで、字図混乱の解消には「奄美市において地籍調査の実施が必要であると考えている」と指摘した。

 再質問で永井議員は「事業担当者の判断の範ちゅうを超えており、最終的には判断の責任者である知事と、地元の判断の責任者である奄美市長で工法の可能性(現道の拡幅か、新たなルート設定か)を探る話し合いをして方向づけを」と提案。知事は「実際に何度も通行しており整備の必要性を強く認識している。奄美市と早急に協議すべきとの提案に対し、さっそく奄美市長とどういうことができるか検討を進めたい」と前向きな姿勢をみせた。

 組織機構の充実で大島支庁に独自の判断などが示せる総括的役割を担う、地域振興総括官の配置を求める提案があった。古薗宏明企画部長は「今後、世界自然遺産登録に向けた取り組みや受け入れ態勢の強化、特定重点配分事業を活用した民間との連携による新しい取り組みの支援など大島支庁の果たすべき役割はますます重要と考えている」と述べ、奄美群島のさらなる振興を推進する観点から、永井議員の指摘(配置提案)を含め組織体制について検討していくとした。