面積が過去最低となっている危機的状況を共有、課題を検討した「さとうきびに関する勉強会」=16日、徳之島町
【徳之島】徳之島さとうきび生産対策本部(森田弘光本部長)主催の「さとうきびに関する勉強会」が16日、関係機関・団体が参加してJAあまみ徳之島事業本部会館であった。面積減や自然災害、農家の高齢化、労働力不足などに伴う生産量減が深刻化する中、大型製糖2工場の維持対策や〝同島バージョン〟の栽培管理作業など中間受託組織化、面積拡大、単収向上対策などで意見交換。魅力あるキビ作りへの課題を共有した。
島内の関係機関・団体から約60人が出席。キビを取り巻くこれら危機的状況を認識して危機感を共有、実効の上がる対策の検討・立案を―目的に「勉強会」と銘打った。森田本部長(天城町長)は「キビは畜産やバレイショとの3本柱の中心だが、魅力ある作物と捉えられているか。一体となって行動計画を立てないと、次世代にバトンタッチできないのではないか」と協力を求めた。
まず、南西糖業㈱の田村順一社長が演題「徳之島の現状と沖永良部島のU字回復について」報告した。同島のキビ生産面積は1981(昭和56)年の5262㌶を過去最高に今年3197㌶と過去最低を記録。収穫面積の95年実績比は沖永良部島152%に対し、徳之島は85%となっている現状も報告。
隣島・沖永良部島における96年の製糖工場存続危機(筆頭株主離脱通知)など厳しい過渡期、生産量達成への強力な施策、国を巻き込んだ再建取り組みなどの歴史も例示。06年以降の「U字回復の背景」には、関係機関・団体の農作業受託組織「(公財)沖永良部農業開発組合」の設立効果も強調。その上で「健全な形で2工場を維持したい」と協力を求めた。
さらに南西糖業農務部の担当者が徳之島農業を支える高齢農家、その小規模農家が支えるキビ生産、左肩下がりを脱せないキビ生産戸数の見通し、鮮明化しつつある単収低下、夏植え減少による低単収―など実態も解説。農作業受託協力の組織化の必要性も説いた。
意見交換では、イノシシ食害の深刻化要因に「侵入防止柵の管理不足がある」として公費事業化も要望。面積回復には「春・夏の新植面積120㌶以上の確保が必要」。沖永良部農業開発組合の〝徳之島バージョン〟設置に関しては南西糖業の子会社「南西サービス」が、来夏以降の中間受委託管理(前金制)を委託する方針も示された。
生産者代表でもある受委託組織からは「労働力不足で種苗を準備できない現状も。キビで飯が食える状態にするには種苗助成もアップして欲しい」。約30年間すえ置かれた生産者交付金の傍らで高騰を続ける生産資材費。ほかハーベスター委託料金に対する指摘もあった。