喜界島サンゴ研

ハワイ・オアフ島沿岸でのサンゴ掘削作業の様子(提供写真)

ハワイで掘削調査に成功
地球レベルの環境調査に貢献
文科省指定機関に登録も

 喜界町の「喜界島サンゴ礁科学研究所」(山崎敦子所長)はこのほど、ハワイ・オアフ島沿岸で気候変動の将来予測に貢献する「Coral(コーラル)CO2プロジェクト」として、サンゴ掘削調査の第1回目に成功したと発表した。採取したサンプルの分析・解析を進め、今後は拠点とする喜界海域との違いなどを検証。山崎所長は「地球レベルで海洋環境を考えていくきっかけにできたら」と意気込む。

 同研究所は4年前、サンゴの年輪を調べて環境変動を予測する同プロジェクトに着手。クラウドファンディングや支援者から集まった予算で調査が実現した。

 9月中旬にスタッフが現地入りし、サンゴ群の地質採集ポイントを選定。3カ所を巡り、オアフ島南西部に位置する「コオリナ」沿岸のリーフに決定した。

 調査地のサンゴ群は水深約8㍍に位置。当局に許可を得て行ったダイバーによる掘削作業は10時間に及び、1・5~2㍍に上るサンプル3本の確保に初めて成功した。

 採取したサンプルは現在、北海道大学理学部地球惑星科学課で保管。今後は質量分析器
にかけて、二酸化炭素の吸収量を計測する予定だ。

 同研究所は8月30日付で文部科学省の指定研究機関に登録された。国から研究費助成などのメリットが受けられ、大学など高等教育機関との共同研究や地元での研究拡大にもつながるという。

 同プロジェクトは喜界島、奄美群島各離島沿岸でのCO2成分の検証をスタート。すでに地元喜界島や奄美大島(住用沖)での掘削に着手しており、群島南部3島での採取調査の準備を今後進めていく考え。

 研究体制が整ってきた状況に、山崎所長は「さらなる躍進と科学の発展に尽くす」と意欲。その上で「ハワイや奄美の沿岸で採取したサンプルの違いなどテーマは広がる。喜界のサンゴの重要性を検証し、成果を積極的に発信していきたい」と熱意を示した。