地域農業の維持発展へ

県内外の関係者が参加してあった「鹿児島県畑かん営農・スマート農業推進大会」(円内は講演の東氏)=18日、天城町

県畑かん営農・スマート農業推進大会
天城町で開催

 【徳之島】県内の畑かん整備地区の農業者や関係機関を対象にした「県畑かん営農・スマート農業推進大会」(県主催)が18日、天城町防災センターであった。南薩土地改良区理事長の東孝一氏が演題「畑かんで農業が変わる」で講演し、畑かん整備による〝農家のはまりと変化〟で農業所得40倍増効果を紹介。徳之島・沖永良部両島の畑かんやスマート農業事例の紹介など交え、地域農業の方向性を考えた。

 県内の肝付、曽於、徳之島、沖永良部地区では、大規模畑地かんがい事業が進み、それぞれ畑地かんがい営農ビジョンを策定して推進。一方では、農家の減少・労働力不足などが進行。地域農業の維持・発展を図るには、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など先端技術を活用した超省力・高品質生産へのスマート農業の推進も課題。県は今年3月に「スマート農業推進方針」を策定して取り組んでいる。

 推進大会には県内外から約220人が参加。県農政部の満薗秀彦部長は大会の趣旨とともに地域の農業の発展のため生産者や一体となった両分野の推進に協力を要請。森田弘光・徳之島地域総合営農推進本部長(天城町長)も徳之島用水関連の畑かん整備推進にも強力を求めた。

 東理事長は(66)は講演で、池田湖を貯水池にした南薩畑地かんがい事業(1970年~94年度、畑かん受益面積5827㌶、区画整理受益地4806㌶)の効果によるソラマメや実エンドウなど高収益型品目への転換など経緯も回顧。「農家がハマって変わったことで農業所得も40倍増に。息子も教師になるのをやめて就農、1週間で百万円の収益があればサラリーマンはやれない。魅力ある農業で地域も変わる」。そこには「リーダーがいて農家がハマる。そして安定量の出荷」とも強調。徳之島の農地(整備状況)には「飛行機から見てわれわれ(南薩)が追い越される時代がくるかもしれない」とエールを送った。

 県側が徳之島用水関連の畑かん施設(対象面積6880㌶)の整備状況(3月末の散水可能17%、19年度見込み20%)などを報告。畑かん営農事例発表には福岡輝男さん(徳之島町)と有川董温さん(知名町)=いずれも畑かんマイスター=が登壇。福岡さんは「子や孫に引き継げる農業。島興しには水が来た今がチャンス」、有川さんは「今後も畑かんを活用したバレイショ栽培で沖永良部農業に努めたい」とアピール。

 スマート農業に関しては県方針の解説、直進アシスト付きトラクタやドローンによる薬剤散布、生産工程管理システム、力作業のアシストスーツなど例も紹介。この後、意見交換でも交流した。

 午前中は島内視察も実施。ロビーでは関連機器の提示、説明会もあった。