龍郷町「種下ろし」、シーズンピーク

龍郷町「種下ろし」、シーズンピーク

集落内の各所を巡り、歌や踊りで盛り上がった赤尾木集落の種下ろし

 

闇夜にぎわす唄・チヂン・ハト
赤尾木集落 若年層中心に伝統継承

 

 歌い踊りながら集落内を練り歩き、翌年の豊作を祈願する龍郷町などの集落行事「種下ろし」のシーズンがピークを迎えている。25~27日の週末には町内16集落であり、唄やチヂン(太鼓)、ハト(指笛)が闇夜をにぎわせた。赤尾木集落(渡美範区長、280世帯)は26、27日の二晩で実施。住民らが家々を回り、踊りの輪を広げた。

 種下ろしは1年間の締めくくりとして、各家々を踊り清め、翌年の豊作や、家の繁栄を祈る行事。かつては集落内の全家を回り、二晩三晩と踊り明かしていたという。例年10月下旬から11月上旬に各集落で行われており、今年は25~27日に集中。安木屋場、久場、屋入、川内が11月1~4日に行う。

 赤尾木集落では、里・東=あがれ=地区、金久・仲金久地区の2班に分かれ二晩実施。計24軒の家々を回わった。八月踊りの中心を担うのは、赤尾木座唄=いりうた=会の面々。同会は5年ほど前に結成し、若年層が中心となり、唄や踊りの伝承を目的に月2回の練習会を開く。渡区長は「若い世代が中心になって進めてくれるのでありがたい」と評する。

 初日の26日は午後8時ごろに集合場所に住民らが集まりはじめ、練習を開始。同8時半ごろから「ヤーマワリ」(家回り)に出発した。

 老若男女が集い、踊りの輪を作った。家々では八月踊りで訪れる住民らのためにごちそうやお酒でもてなしも。踊りの熱がピークに達した頃合いに「ハナ」(寄付金)を披露。「みなみなさまの踊りがあまりに素晴らしいということでおハナを頂きました!」の掛け声とともにチヂンやハトが打ち鳴らされ大盛り上がり。日付が変わる頃まで夜半のにぎわいは続いた。

 金久・仲金久地区を回った座唄会副会長の迫地政明さん(52)は「種下ろしは大事な集落行事。一つのことをみんなでやり遂げる文化を、集落を挙げて残したい」と今後に向けて意気込む。また、自宅がヤーマワリの対象となった瀧健一郎さん(52)は「もてなしは近隣の家から食事を持ち寄って準備する。結束を高めるきっかけになって良い」と語った。