掘り返され変わり果てたイソノギクの自生地(瀬戸内町ホノホシ海岸)=西康範さん撮影
海岸部で満開を迎えるオオシマノジギク(奄美市名瀬)=西康範さん撮影
イソノギク食害で減少
オオシマノジギク満開
二十四節気の一つ霜降が過ぎて、奄美は朝夕めっきり涼しくなり晩秋が色濃くなっている。この時期の奄美大島の海岸部では希少な菊の花が咲いて彩りが加わるが、「イソノギク」と「オオシマノジギク」で明暗が分かれている。オオシマノジギクは奄美市名瀬で満開を迎え咲き誇り、イソノギクは瀬戸内町ホノホシ海岸で野生動物の食害で数を減らすなど、自生地が脅かされている状況。写真を撮影した奄美市名瀬の西康範さんは「イソノギクのこれほどの群生地は他にない。瀬戸内町には、なんとか復活させてもらいたい」と期待する。
イソノギクは琉球列島固有種で、奄美大島を北限として自生。イソノギクの自生地は、駐車場から荒波による玉石が覆う海岸へ向かう道路沿いの広場だった。
今年は自生地の様相が、広場一帯を何者かに掘り返されていて大きく様変わり。西さんが同町役場に問い合わせたところ、「リュウキュウイノシシでないか」と回答があったという。
イソノギクは環境省レッドデータブックで、絶滅危惧ⅠB類にリストアップ。キク科の多年草で、海岸の岩場などに生え、肉厚の葉で茎は分枝し地をはって成長する。花はやや紫を帯びた白色。開発などにより自生地は減少しているとされる。
オオシマノジギクも、琉球列島の固有種。海岸に面した崖地や岩場、草地に生える多年草。絶滅危惧Ⅱ類。舌状花は白色で、頭花は頂生する。