サシバの生態など解説

サシバの生態など解説

ハヤブサをお披露目した伊藤獣医師(左)とサシバの生態などを解説した与名さん(右)

 

 

「環境の指標なり得る生きもの」
撮影の与名さん 越冬地での保護提言

 

 奄美自然体験活動推進協議会は3日、大和村の奄美野生生物センターでお話会「もうきんの観察方法~サシバと友達になろう!~」を開いた。奄美大島でサシバの写真を長年撮影している講師から、「サシバは環境の指標になり得る生きもので守るために環境保護が必要だ」という提言があった。また獣医師が保護するハヤブサも登場し、来場者は興味深く観察を行った。

 お話会は、サシバなど猛禽=もうきん=類の写真を撮影し続けている写真家・与名正三さんの同センターで10日まで開催中の写真展「越冬地のサシバ」に合わせ企画。聞き手を同センターの鈴木真理子さんが務め、スライド資料や写真パネルの解説を交えながら進行した。

 与名さんは奄美市名瀬出身で高校2年の時に初めてサシバを目撃し、興味を持ち写真撮影に挑戦したり図書室で調べてみたりしたという。また図鑑などに載せるために日本で見られる約760種の鳥類のほとんどを撮影した。

 与名さんは猛禽を、生きた獲物を追いかけ捕まえることができる鳥類と指摘。参加者に写真を見せて、早く飛び獲物に体当たりするハヤブサや海に潜り魚を捕らえるミサゴなどを紹介した。

 奄美は南下する渡り鳥の通過地点や、サシバの越冬地になっていることも説明。実際の猛禽として、奄美いんまや動物病院の伊藤圭子獣医師が交通事故でけがをして治療したハヤブサを厚手の手袋に乗せて登場。参加者は猛禽の鋭い爪などを興味深く観察した。

 与名さんによると、サシバは国内では青森県から鹿児島県本土が繁殖地で、南下して奄美には9月下旬から翌年4月初めごろまで越冬地として滞在し繁殖のため同じルートで帰っていくという。森の中に巣を作り、35日ほどで卵からかえり約45日で幼鳥になる。近年個体数の減少と警戒心が強くなっていることから、繁殖地で幼鳥は稀にしか見られなくなっているとした。

 与名さんは「奄美大島はサシバの越冬地。バッタやカマキリなど餌となる生きものが豊富。生きものはつながりがあるので、生物多様性は保護されなければならない。サシバの増減が環境の良しあしの指標になる」などと締め括った。