瀬戸内町産アボカド

瀬戸内町産アボカドを使った料理などの試食会検討会が行われた


試食会で並んだアボカドを使ったさまざまな料理。「写真映えする」などの意見も挙がった

新産品の今後の可能性探る
試食検討会「外国産との違い明確化を」

 瀬戸内町と同町アボカド生産部会(古俣文喜会長・68戸)は7日、同町古仁屋のイタリア料理店「キッチンマッチボックス」で同町産のアボカドの初の試食検討会を開いた。町がアボカドの産地化に向けた取り組みを推進し始め約3年半が経過。実を結ぶ果実が見られるようになった。生産農家、町職員、町内飲食業関係者ら20人がアボカドを使ったさまざまな料理に舌鼓を打ち、新産品の今後の可能性を探った。

 同町は2016年4月からアボカドを新規推進品目に位置づけ、産地化に向けた取り組みを推進。希望する農家に苗木の配布・購入助成を行い町内での栽培拡大を進めてきた。現在では生産農家68戸、約1㌶で栽培されている。

 試食会にアボカドを提供した古俣会長(55)は加計呂麻島須子茂で15年からアボカドの露地栽培を開始。8種ものアボカドを栽培するが、今年度ようやく1種約10個と、2種数個の収穫にこぎつけた。

 西古見で施設栽培を行う宮原仲清さん(70)の農園では2種が栽培され、昨年から実をつけ始めた。今年は約50個を収穫し試食会にも提供。宮原さんは「来年度は300個以上を見込んでいる。需要が増えそうなので露地での栽培も検討しているところ」と話す。

 この日は2人が持ち寄った町内産の「ベーコン」、「ピンカートン」、「フェルテ」の3種と、一般的に市場に出回っている外国産「ハス」を食べ比べ。切りたてを生で試食した後、同店で調理されたアボカド料理を味わった。

 メニューはサラダやディップなどの一般的なものから、「クルマエビとアボカドのアヒージョ」、「シシ肉とアボカドのアンチョビソテー」など地元食材とコラボした料理まで多彩。デザートにはアボカドを使った「カタラーナ」と呼ばれるアイスクリームが提供された。参加者らからは「外国産と比べると、味が濃くクリーミー」、「一つの素材からいろいろな味が展開する」などの意見が挙がった。

 同町蘇刈のホテル「THE SCENE(ザ・シーン)」の調理担当・山元史紋さん(24)は、「アボカドの品種によって味や硬さが異なるのが面白い。仕入れと食べごろのタイミングの見極めを自分なりに勉強し、奄美の食材と合わせ郷土料理に活用してみたい」と意欲を見せた。

 試食会後、宮原さんは「市販の外国産との違いを伝えてもらうと、自信につながる」。古俣会長は「アボカドは何にでもあうので、料理の種類が多く、可能性が無限にある。産地直送で適期収穫されたものを提供できるのも国産の強み。今後も価値がわかる人に売り込んでいきたい」と語った。

 町農林課の田原章貴=ふみたか=農政係長は「今後量を確保し、販売の準備を生産者と検討したい。地元で試行錯誤しできたものというストーリー性を作り、外国産との違いを明確化することが必要」と語った。