県ヤスデ対策検討委

県内の発生状況や防除対策について意見交換した対策検討委

21市町村356地区で発生
侵入時期異なる個体混在 発生ピーク複数化の傾向

 県のヤンバルトサカヤスデ対策検討委員会(会長=西宣行・県環境保健センター長)が18日、奄美市住用町の市住用総合支所であり、県内の発生状況や対策、同ヤスデに関する調査研究報告などがあった。今年は7月末までに、県内21市町村356地区で発生、うち、奄美市や大和村、瀬戸内町、伊仙町、鹿屋市の5市町村12地区で大量発生が確認されていることが報告された。また、近年、新たに侵入した異なる個体群が混在し、発生ピークが複数化の傾向にあることが指摘された。

 県などによると、同ヤスデは1991年に徳之島町で発生が初めて確認されて以降、これまでに、県内25市町村で発生が確認されている。奄美群島で大量発生が確認されたのは、17年度に奄美市1地区で確認されて以降2年ぶり。奄美市は今年度、10地区(名瀬3地区、住用7地区)で大量発生が確認されている

 検討委には、県や自治体の担当者や大学や企業などの防除の専門家ら15人が出席。奄美市と鹿児島市の担当者が現在実施している防除対策などについて説明したほか、同ヤスデの生態や防除対策の研究をしているサンケイ化学㈱顧問の竹村薫氏が鹿児島市の同ヤスデ生息地の発生状況調査について報告した。

 竹村氏は、鉢植えなどの植物の移動が発生地の拡散につながっていることなどを報告、「異なる個体群が新たに侵入することで、繁殖期や大量発生時期が複数になる可能性がある」などとし、現在、春と秋の年2回に限定されている大量発生ピークの期間や回数が拡大する恐れも指摘した。

 また、駆除剤として、奄美市が現在使用している薬剤について、「効果はあまり期待できない」などとし、別の薬剤の使用を検討することを提案。市環境対策課は「今後、検討していく」という。

 同検討委終了後には、住用町の住民らを対象にした防除対策の説明会があり、竹村氏が同ヤスデの生態や防除対策などを説明した。

 竹村氏は同ヤスデが10~11月に交尾期を迎え、その後約1カ月で産卵することや、1回で150~350個の卵を産むなど繁殖能力が高いことなどを説明。「外来生物のため、天敵もいない。あっという間に増えてしまう」と大量発生の原因を指摘。根絶は難しいものの、餌となる落ち葉などが発生源となり、日当たりの悪い湿気がある場所を好むことから「土手の草払いを徹底し、日当たりをよくするなど、生息しにくい環境をつくることが大切」などと話した。

 住民からは、「薬剤の効能はどれくらい持つのか」、「戸締りをしていても侵入してくる。どうしたら防ぐことができるか」などの質問があり、竹村氏は「薬剤は5日程度で効果がなくなる。ヤスデは表面がツルツルした所は進めない。ガムテープや建築用の養生テープなどを家の周りに貼ることも効果的」などとアドバイスした。

 同検討委は19日、奄美市の発生地区で、現地調査を実施する。