悪質な書き込みへの対処などネット社会に潜む危険性について講演したスマイリーキクチさん
人権意識の普及高揚などを目的とした「じんけんフェスタ2019in奄美市」が24日、奄美市役所であり、ネット上の誹謗=ひぼう=中傷などの被害に苦しんだお笑いタレントのスマイリーキクチさんが、「ネット社会における人権について」講演した。大勢の市民らが参加し、デマや中傷などのネットトラブルに巻き込まれないための対処や相手を傷つける情報発信をしないネットのモラルなどを学んだ。
スマイリーキクチさんは、1999年ごろ、身に覚えのない殺人事件の犯人だというデマをネットに書き込まれ、その後10年以上にもわたり、誹謗中傷を受け続けた自身の経験談を交えながら、被害にあわないための対処法や、デマを拡散する加害者にならないための正しいネットの利用方法などを説明した。
キクチさんはネット上で「殺人犯」と書き込まれたことで、「人殺し」「死ね」などといった誹謗中傷を受け、所属事務所やテレビ局などにも抗議が相次ぐなどし、仕事がなくなるなど被害を長年受け続けた。
キクチさんは「ネットに書き込むのは10秒でできるが、10年、20年経っても(書き込みを)消せない」などと指摘。「ネットの世界では、ある日突然、被害者になってしまうかもしれない。それと同時に、自分が意図しないうちに加害者になってしまうこともある」などと話し、安易にネット情報を信じることなく、情報をまず疑うことや、信ぴょう性の低い情報の拡散につながるようなSNSへの発信をしないことの大切さを呼び掛けた。
また、誹謗中傷を受けた場合について、「相手を挑発するような書き込みは避け、警察などに相談してほしい」と話し、過去に起こったネットトラブルが原因の殺人事件などを紹介し、「ネットの向こう側には自分の想像を超える危険人物が存在することを忘れないでほしい」と、顔の見えない相手とネット上でやりとりすることの危険性も指摘した。