放火容疑で消防団員逮捕

周辺民家などを焼いた龍郷町嘉渡の火災現場(2018年7月19日午前3時10分ごろ)

松元容疑者

昨年7月10棟など全焼 「出動手当が欲しかった」
龍郷町嘉渡火災 2日前の火災関与か

 昨年7月、龍郷町嘉渡の空き家に放火し、周辺民家10棟などを焼いたとして県警は25日、地元嘉渡に住む建設作業員で消防団員の松元裕太容疑者(30)を現住建造物放火の疑いで逮捕した。松元容疑者は「消防団の出動手当が欲しかった」と容疑を認めているほか、同2日前に起きた火災についても容疑をほのめかしており、県警らは調べを進めている。

 逮捕容疑は昨年7月19日午前2時ごろ、埼玉県在住の男性(72)が所有する同町嘉渡の木造平屋建ての空き家に侵入して火をつけ、近隣の木造平屋建て家屋など10棟や車両1台を全焼させるなどした疑い。県警などによると当時は松元容疑者自らが通報し、消火活動にも参加していたという。

 松元容疑者は今年10月、男性の住居に侵入し電化製品などを盗んだとして親族に連れ添われて自首し、住居侵入および窃盗の疑いで現在は起訴勾留中。取り調べのなかで犯行を認め、目撃者の供述や鑑定などの結果から疑いが強まったとして逮捕した。

 松元容疑者は直線距離で100㍍ほど離れた2日前に起きた火災についても関与をほのめかしており、県警は余罪なども含め捜査を進めている。

 大島地区消防組合龍郷消防分署によると、松元容疑者は2008年に消防団に入団。事
件前の昨年4月19日には10年勤続の県知事表彰を受賞していた。

 龍郷町消防団の入団条件は、①龍郷町内に在住②満18歳以上③志操堅固で身体剛健―の3項目のみ。他団員からの推薦による入団が基本で、任命は消防団長が行う。

 同町消防団員数は9月1日現在で、144人(定員153人)。松元容疑者が入団した2008年と比べて大幅に減少したなどの現状はないという。

 同分署は近く、緊急の消防団幹部会の開催を予定。再発防止策を検討する方針としている。
 松元容疑者は26日に鹿児島地検に送検される。